第十四訓 男ならとりあえずカジキ! ページ42
「そいつはいつの間にか池のほとりにいたんだ。なーんにもせずにただずーっと池眺めてたんだよいつも。俺も最初は隠れてたんだがそのうちバカらしくなってな。」
「お前いつもそこで何やってんだ?」
「娘は俺を見て少し驚いた風だったが。」
「部屋にいても一人だからつまんなくてどうせなら自然で一人でいようと思ったんだけど、二人だったんだね。」
「娘は肺を患っていた。人に伝染る病だ。はれ物扱いされて部屋に隔離されていたところを忍んででてきたのさ。誰でもいいから話し相手がほしかったのさ俺もアイツもな。」
近くで銀時は魚を食べ「おぇっ」と首元をおさえていた。
「それからアイツと語る時間だけが俺の生きる時間になった。たわいもない話しかしなかったが楽しかったよ。」
「おじさんはいいね。」
「なにが?」
「こんなキレイな水の中自由に泳げて。私小さい頃から身体弱かったから泳いだことなんてないんだ。一度でいいから自由に泳いでみたいよ透明な世界を…。」
「……身体治しゃいい。」
「無理よもうずっとだもの。」
「バカヤロー人生は長いんだぜ。オメーが身体治すまでここは俺が護ってやるよキレーなままでな。だからさっさと身体治してきな。」
「わかった約束だからねおじさん。」
「おおよ。」
「…約束っつったって何年前の話だよ。」
「さあ。乗って来た船があんなになるくらいですから少なくともその娘さんはとっくに…。」
「…粋狂にも程があるぜつきあいきれねーや。」
「よーし準備いいなや、頼むわ。」
「へーい。」
昼間のガラの悪い男はそう頼むとあくどい笑みを浮かべた。
「クク…腐れ河童俺ももう我慢の限界だよ。池ごと土の下に埋めちゃうもんね〜。」
「でも大丈夫なんですかね河童のたたりとか。」
「バカかお前は!河童なんているわけないだろ。ありゃただの天人だ。」
「…ったく夜中になんでこんなことしなきゃならねーんだ。」
そうぼやく男だがいきなりキャタピラが止まった。
「んだオイ止まっ…。」
そこには河童の着ぐるみを着た神楽がキャタピラを押し返していた。
「私三郎河童アル!おじさんキューリちょうだい。」
「ぎゃああああ!!」
「なにやってんだ矢島の奴?オイどーしたキャタピラに金玉でも巻き込まれたか。」
次に現れたのは新八。
「二郎河童推参!!」
「ぎゃあああ!!」
「!なーにギャーギャー騒いでんの?キャタピラに金玉でも巻き込まれたか。小東!ちょっと見てこっ…。」
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作者名:アキ | 作成日時:2018年9月11日 0時