Prologue ページ1
何百年もたったはずなのに
僕はあの日の事を何度も鮮明に思い出す
あの日の
殺伐とした空気
仲の良かった元友人達の罵声投げつけられる石
村人達の冷ややかで怒りに満ちた視線
それらが自分に向けられているのに妹の死の方が悲しくて何も感じなかった自分
『シュウ、こんばんは』
そしてそんな自分に
最後に会いに来た…いや、来てくれた君
『今日は星が沢山見えるね』
君はいつものように僕に話しかける
だけど僕は親友だったはずの君の事も頭に入ってこなくて
君の事もどうでもいいと言うようにずっと下を向いていた
「……。」
『うーん、、』
『最後なんだからいっぱい話がしたかったな』
どうして君が僕なんかと話がしたいなんて思うんだ
『……ごめんね、シュウ。』
どうして君が謝るんだ
すると君の他に誰かが来た
「おい、そんな奴と話すな。」
声からして男だろう
でもまぁ、どうでもいい
『すいません、どうしてもいいたい事があるのでお願いします』
「…、もう準備が終わるから急げ」
『はい』
もう少し何か言われるかと思ったが男はあっさり引いた
意外だ
そんな事をぼんやり考えていると
『私ね生贄になる事怖くなかった…もちろん今も』
『だから…シュウ。どうか自分のせいだと思わないで』
は?
『自分を責めないで』
意味がわからない
自分の中で何かが轟々と渦巻いていくのがわかる
だってあの子も君も僕のせいで…
『…今までありがとう』
「⁉」
ようやく僕は顔を上げて君の顔を見た
わからない
何故僕にそんな事が言えるんだ
すると君はやっと顔を上げた僕の顔を見ると
『さよなら』
そう言って微笑みながら去っていった
「まっ!」
僕は追いかけようと手を伸ばそうとしたが縄に縛りつけられていたから動けなかった
君は僕の方を振り向くことはなく先程の男と共にさった
その日君は僕の妹と同じく
村のために死んだ
君は最後の生贄になった
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作者名:KASUMI | 作成日時:2021年1月20日 17時