55話 ページ12
そのあとの合宿は平和そのものだった。
なんでも聞いたところによると、例の選手は監督に絞られたあと今吉さんと仲良くオハナシしたらしい。
桃井曰く、
「詳しく知りたい?やめておいた方がいいと思うな!」
だそうだ。
次の日に見た例の選手は私の顔を見るなり顔を真っ青にして盛大に顔を逸らしたのでお察しと言うやつだ。
ルナは中学時代の兄に見つかった灰崎を思い出す。
まあ、心配なんぞしてやらないが。
そうして、1悶着あった合宿は膜を閉じた。
「って事が合ってね、言われたことより青峰が怒ったことのが衝撃的で割と内容ぶっ飛んじゃった!」
合宿後、久しぶりに赤司と通話をしている。
お互いにIH前後は忙しかったことや、さすがに疲れていたこともあり連絡は控えていたが夏の行事もひと段落着いたところで連絡を取り合った。
「僕もそのルナの伝え方で、大変だったね…と、途中までお前を思って傷心していた僕の心配がお陰様でぶっ飛んだよ。」
「うん?」
「どうしてそう、お前は昔から緊張感があまりないんだろうね?」
具体的に言うと、ルナの言う例の選手を【ピー】と【ピー】が混ざったようなクソ野郎と説明したあたりで赤司は真面目に聞くのを諦めた。
「あったでしょ、緊張感。私が珍しく人前で泣いたんだよ?この、わたしが!」
そういう所だぞ、という言葉を赤司は飲み込んだ。
経験上この言い合いはいつまで経っても決着は付かない。
というか、決着が付くものならルナのそれはとっくの昔に直っている。
「………そうだね、うん。」
「征十郎はどうしてほかの女の子には優しいのに私に対しては氷みたいな体温で接するの。」
「普通に冷たいといえ、普通に。仲の良さ故だよ。気を許していると思ってくれ。」
「……もうそれでいいよ。」
しかたないから妥協してやると言う副音声が聞こえてくる。
「何はともあれ、元気そうでよかったよ。桐皇の今吉には感謝しなくてはね。」
「今吉“さん”ね。」
この天上天下唯我独尊男。と思っても口に出さない。
余計にくだらない言い争いになるのは目に見えている。
季節は真夏から秋に移る。
二学期に入ればいよいよWCは目前だ。
3年生にとっては最後の大会
そして、キセキの世代が一堂に会するチャンスのある最後の大会である。
「まぁ、わたしには関係ないんだけどね!」
というか巻き込むな。わたしはあんな変人じゃない
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作者名:りぃん | 作成日時:2019年9月23日 0時