甘味処へ(煉獄side) ページ5
「おっしゃ、煉獄、甘味処行くぞ」
「何故だ!」
「甘味処の娘さんに会うんだよ!それしかねぇだろ」
「何故甘味処へ行くのだ!」
「そんなん決まってんだろ。お前の想い人ってのは甘味処の娘さんだろう!話を聞いて派手にわかった!お前がそんな顔するのはアイツしかいねぇだろ!」
「むぅ...しかし!」
「いいから行くぞ!」
そう言って宇髄に引っ張られる形で甘味処に着いてしまった。
『いらっしゃいま......』
甘味処の娘さんは俺の姿を見てすぐに俯いてしまった。
そしてそのまま父親の元へ向かい、
『お父さんすみません、そこのお客さんお願いしてもいいですか?他のお客さんは私がやりますので!』
そこのお客さんとは俺達のことだった。
彼女は俺の言葉をそのまま受け止めていたのだろう。
「煉獄...おめぇ派手にやっちまったな。こりゃもう無理だ」
宇髄にもそう言われ、ガクッと肩を落とした。
俺はあの時、逃げ出したいほどに緊張してしまっていて、肝心なところを伝えきれなかった。
それで"離れていてくれ"なんて言ってしまった。
元々のそういう不器用さもあるかもしれないが、そんなものは言い訳にならない。
そもそも今思い返してみると、彼女はあの時何かを俺に言おうとしてくれていた。その言葉を遮ってまで俺は"だから離れていてくれ"なんて言ってしまったんだ。
「煉獄、もう一度派手に伝えてみたらどうだ」
「あんなことを言ってしまったんだ。彼女を傷つけてしまった。何を言っても言い訳に聞こえてしまうだろう。」
俺はあの告白をきっかけに嫌われてしまったのだろうか。
あぁ、またあの優しい笑顔で『煉獄さん』って呼ばれたい。
そして俺も「A」と君の名を呼びたい。
140人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柑橘蛍(プロフ) - この煉獄さんもいい… (2021年2月23日 15時) (レス) id: e14d5de1d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ka:ran | 作成日時:2020年12月16日 23時