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#8 ページ9

とある平日の午後。



『髪、染めてみようかなあ。』


「……髪っすか?仕事とかに影響出るんじゃ、」



隣で前髪を弄りながら、ぽつりと呟かれたその言葉に驚く。


_確かに、似合いそうではあるのだが。








時の流れは早いもので、彼と会ってから約二週間が経過しようとしている。


時々電話で話したりだとか、少なくともおはようやおやすみ、などの挨拶は交わす程度に連絡は取り合っていた。


たまたま休日が重なった今日は、久しぶりに会おうと彼から誘って貰ったのだ。


勿論二つ返事で承諾して、こうして自宅兼事務所の此処へ招き入れたのだが。


……ダメだな、そんな事で惚気るな、俺。




『就業規則とかはちゃんと確認したけど、会社側は大丈夫なんだって。…あ、流石にがっつり金髪!とかは印象的に駄目なんだけどね。


ね、どう?一郎くんは似合うと思う?』


「はは、そこ俺に聞くんすか?」



こてん、と首を傾げれば繊細な黒髪がさらりと揺れる。



「俺は今のままが好きっすけど…、あ」


彼の前髪を一束掬えば擽ったそうに目を細める。


その仕草ひとつひとつに鼓動が速まっていく感覚。



「黒髪、っつう共通点が無くなるのは悲しい、けどな。」



ゆっくりと告げれば赤い瞳の瞳孔がきゅ、と縮まる。


驚いている、のだ。



『ふふ、いきなりどうしたの一郎くん。擽ったいよ、』



優しく手を払われて、顔を逸らされて。その挙動とは裏腹に項が赤く染まっているのが見えたから






つい手を伸ばす。ゆっくりと、




仄かに熱を持った項へ触れてみれば彼の肩が跳ねて。



『っ__いちろ、くん?』



少しずつ、少しずつ。胸板を押される力に反して距離を縮めていく。あともう少し、









「………に、兄ちゃん…?」



扉付近、すっかり耳に馴染んだ声の聞こえた方を振り向けば、予想通り、呆然とした表情を浮かべた次男の姿が見えた。

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木乃伊(プロフ) - とっっても面白いです!更新頑張って下さい!! (2020年4月27日 2時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
クレハ(プロフ) - はじめまして!クレハと申します!面白い作品ありがとうございます!さっそくなのですが、リクエストしてもいいですか?違法マイクで夢主君が幼児化するお話が見たいです!出来れば摩天狼でお願いします!! (2020年4月23日 22時) (レス) id: 7636715740 (このIDを非表示/違反報告)
蛇使い座(プロフ) - きゃあぁぁ!すごい一郎君と独歩君が可愛く見える……!!凄く面白いです!これからも頑張ってください! (2020年2月17日 18時) (レス) id: 760b5f712c (このIDを非表示/違反報告)
ヤト - 続きが気になります、更新楽しみにしてます。 (2020年1月8日 17時) (レス) id: bd201871c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絢鳩 | 作成日時:2020年1月7日 1時

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