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話は少し前に戻って。
運命の分岐点まで、後1020秒。
そこでは、敵将ハイレインのアレクトールによって、雨取千佳がキューブになった地点だった。
『マスター、迅の予測通り、雨取千佳がトリオンキューブ化しました。』
「そう。
(迅の予知だと、この侵攻で私は出ない。
仮に出たとして、逆に最悪の未来になる場合だってある。)
様子を見る。」
(A級の3人が加勢して、すでに緑川くんが緊急脱出。
米屋君も出水君も、敵のトリガーで1部がトリオン化。
とりまる君のトリガーがあるにしてもリスクが大きすぎる。)
【次の大規模侵攻で、京介は敵の誰かに負ける。
死ぬわけじゃないけど、そうなったらさ・・・】
三雲がキューブ化した千佳を抱えて走り出し、出水が緊急脱出した。
三雲が本部にたどり着くまであと3分。
烏丸が専用トリガーガイストを起動。
『マスター？』
「出るよ。本部に申請して。」
ブレイカー使用の許可。
本部side
本部オペレーター、沢村がディスプレイに映った文字を読み上げる。
「城戸司令、A隊員からブレイカーの使用許可の申請が届いています。
如何いたしますか？」
「ブレイカー？聞いたことがありませんが・・・」
メディア担当の根付は、聞いたことがない申請に、
開発部室長である鬼怒田と司令である城戸に目を向ける。
「ワシも聞いたことがない。
城戸司令、ブレイカーとはなんなのだ。」
「ブレイカーとは、ボーダーにとっての最後の切り札。
使い方を誤れば、三門市だけではなく周辺の町も巻き込んで滅ぼしてしまう可能性を持つ危険なものだ。
ノーマルトリガーであり、射手のアステロイドの強化版だが、
その威力は、先日の雨取隊員のアイビスの威力をはるかに凌ぐ。
敵に知られれば、確実に不利になる。」
「そんな危険なもの、当然許可できませんな。」
「・・・・いや、許可しよう。沢村くん、彼女にそう伝えてくれ。
ただし、使用出来るトリオンは、二宮隊員と同じ12までだ。
あとは"調達しろ"と伝えてくれ。
それと、迅に繋いでくれ。」
迅side
「こちら、実力派エリート」
『私だ、迅』
「あららー、珍しいこともあるもんだ。
なんか、ありました？」
『Aがブレイカーの使用を申請してきた。』
「・・・っ、嘘でしょ？」
『事実だ。
おそらく、三雲隊員と雨取隊員の援護をすると同時に敵のリーダーを追い返すためだろう。』
「許可・・・したんですね。」
『ああ。』
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作者名：KAORU | 作成日時：2022年3月22日 0時
