佰漆拾肆頁─決戦 11─ ページ41
「無理」
「......え?」
頭の片隅にすら無かったその返答に敦は思わず息のような弱い声がもれた。
表情が固まり、半開きの口が塞がらない。
敦がその理由を問うより先に鏡花は覆い被せるように云った。
「私は虜囚。足首を鎖で繋がれているから、脱出装置のある部屋まで行けない」
「そんな...じゃあ......」
「私のことは諦めて」
「駄目だ!!」
悲痛な叫びが操縦室に響き渡る。
同時にバンッと何かを力強く叩いた音が鏡花の耳に届いた。
「そんなの駄目だ!軌道を変えるんだ!」
心の何処かでは敦も判っていた。
彼女一人の犠牲で、今この瞬間驚きの表情で空を見つめる多くの人々の命が救われるということを。
だが彼の頭には彼女を見捨てるという考えは存在していなかった。
「これまで私には一片の光も無かった。でも今日判った。私にも選択肢はあると」
ぎゅっと操作盤の上に置いた手を握る。
心配させないように、声には隠している気持ちを抑えるように意識をしなくても自然と握ってしまう。
「命を犠牲にして皆を助ければ、きっと私は入社試験には合格できる。探偵社員になれる。なら、何も惜しくはない」
「止めるんだ!!」
「突っ込んでくる!行くぞ!」
メルヴィルが大声で呼びかける。
しかし敦は動く素振りを見せない。
その場に立ち尽くして動かない敦を、芥川が服を掴んで無理矢理動かす。
突然引っ張られた躰に驚き、敦は「離せ!」と反射的に言葉で抵抗するが満身創痍の為にそれを実行に移せない。
「鏡花ちゃん、聞いてくれ!!」
「ありがとう......ごめんなさい」
敦は叫んだ。
それは今までの彼の人生の中で、最も強い心の底からの叫びだった。
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まんじゅうねこ(プロフ) - 煉華☆さん» ゲームでの名前は其の侭「まんじゅうねこ」です!ありがとうございます! (2018年11月2日 17時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - まんじゅうねこさん» 初めまして、こんにちは(*^^*) フレンドは大丈夫ですよ!「4555 8960 3456」←こちらでいけると思うので、ゲームでの名前を教えていただけると助かります。コメントありがとうございました! (2018年11月2日 17時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - すいません、文マヨのフレンド申請を送っても良いでしょうか……。 (2018年11月2日 16時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ありがとうございます!風花楓音で申請しました! (2018年9月30日 10時) (レス) id: cdcff714b1 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - のんさん» こんにちは!大丈夫ですよ(*^^*) コメント欄にIDが書いてあるので、申請して貰えたら嬉しいです。 (2018年9月24日 14時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/renka_kazetani
作成日時:2018年7月14日 17時