【ONEPIECE】月が綺麗だと、そう言って2【トラファルガー・ロー】 (ページ10)

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9.自由との決別ページ10

－Aside－

着替えたいと言った手前、このツナギのままでは怪しまれる。
そう考えた私は体を預けていたベッドから離れクローゼットに近寄った。

A「相変わらず酷い趣味だ。」

クローゼットの中はフリルが大量についたドレスばかり。しかも全てが黒い。

別にドレスそのものはどれも可愛らしいし着る人が着ればゴシックな雰囲気が出て良いだろう。
だが、私には似合わない上、あの50を超えた領主が私に似合うと買い与えていると思うと服に罪はないのに燃やしたくなる。

A「…はぁ。」

取り敢えず着替えねばと1番シンプルなデザインのドレスを選ぶ。(どれを選んでもフリルだらけだけど。)

カチャリ

着替え終わるとドアの鍵が開いた。

A「ノックぐらいしたらどうだ。」

フレ「生憎犬に対する礼儀は持ってないのでな。…島に着いた。来い。」

ガシャ、ガシャ

手錠を着けられ鎖を引っ張られながら歩くと見慣れた屋敷が目に映った。

領主「お前が逃げたおかげであのお方も酷く残念がっていた！今回は逃げるなよ！じゃないと…お前の大事な仲間…殺しちまうからなぁ！！」

A「…利用しただけだと言ってるだろう。何度も言わせるな。」

領主の脅しに感情を出さないように静かに答える。

領主「フハハ！そうかそうか…そりゃあ悪かったなぁ…。それで？どうやったんだ？」

A「なにがだ」

領主「あの海賊船に乗った方法さぁ！船長…トラファルガーだったか？アイツの女にでもしてもらったかぁ？」

A「…そんなわけッ！……ないだろ」

領主「フッ、本当かぁ？海賊はクズばかりだからなぁ！！」

A「ッ！！どんな海賊よりお前の方がクズだろうがよ！！島民に嘘をつき続けるクソ野郎が！！」

カッとなった私は領主に蹴り掛かろうとしたがフレディに鎖を引かれ地面に転がる。

領主「相変わらず血の気が多い小娘だ！」

そう言っていつも通りのニタニタ顔で私に近づくと私の背中を踏みつけた。

領主「…明日はお前の仕事の日だ。長らく島民は待ち望んでいる！しっかりやれよォ！」

A「ぐっ……」

領主は私を存分に踏みつけ、フレディを呼んだ。

フレ「かしこまりました、旦那様」

トンッ

A「うっ……」

フレディに手刀され意識を失いながら頭に浮かんだのはハートの海賊団の皆の顔だった。

A「(さよなら、私の宝物のような日々)」

ただいま、私の地獄。