【鬼滅の刃】神様の巫女 弐

＊ ページ36

「……炭治郎大丈夫？」

「目眩がする……」


そう言って首にかけていたマフラーのような……襟巻き、だっけ？ それをフードの様に頭に被る炭治郎は、またてくてくと歩き出した。


「あ、あっち行こう、禰豆子、A」


かと思えば突然小走りをして、見つけた路地裏に入ろうと言い有無を言わさずそこに入って行く。静かで暗いとこに行きたいのね、なるほど。ぱたぱたと私もついて行って、そうして入った路地裏で繰り広げられる光景に炭治郎は「うわっ！？」と声を上げた。
まあ包み隠さず言うなら男女が接吻……キスしてたんだけど。
お前ら日本人ちゃうのか。イチャつくなら家でやってほしい。いやほんとマジで。


「し、失礼しましたぁ！」


上擦った声で謝って頭を下げる彼のなんと律儀なこと。っていうかこれは多分思わず、なんだろうなぁ。ばたばたと走り出した二人を追いかけつつ街を眺める。
あっちを見てもこっちを見ても高い建物に行き交う人、提灯の灯りは夜を演出している。当然だけど、やっぱり平成の夜の街とは雰囲気が違うよなぁ。こっちの方がなんか怪しげ。

走って走って走って、たどり着いたのは街の賑やかさから離れた路地。暗い道を照らす街灯の下には何やら屋台のようなものがあった。
うどん、と書いてあるそこまで歩いて、炭治郎は「すみません……」と煙管を蒸(ふか)すぴかりと頭が光る店主に弱々しい声をかけた。


「山かけうどんください……」

「あ、私きつねうどんお願いします」

「あ、あいよぉ」

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