第2話 継子とは、つまり ページ10
曰く、継子とは“柱”と言われる称号を持った者が直々に育てる人間のことだという。
目の前に座り酒を煽る男は確かにそう言った。
「……本当に?」
大人しく座って男を見上げる私は頭を捻る。だってこの男、さっきの説明の中に、何か肝心なことを含んでない気がするのだ。
何を、と聞かれるとさっぱり分からないが、それでも何か隠されている。これは確信だ。
場所は社より山奥、立ち入ってはいけないと言われていた注連縄より先。社が建っていたもっともっと奥の方にある小さな小屋。周りを藤の花が囲むその小屋の畳が敷かれたそこで、対面に二人座って話していた。
ぱちぱちと囲炉裏の火が弾けた。
「……お主、聡いのぉ〜? なに? どこで身につけたのそういうの」
「強いて言うなら前世から。そのおかげで苦労しましたが」
ふぅん? と相槌を打ったそいつはまた酒を煽る。よくお飲みになることだ。
因みにこの酒は、お察しの通り私と一緒に供えられていたものだ。要するにあの時私がこいつ目掛けてぶん投げたやつ。こいつ曰く、なかなかいい品らしい。いや知らんけど。
「で? 本当のところは?」
聞き出したところ、どうやら継子や柱というのはそもそも、“鬼殺隊”という組織で使われる言葉だそうだ。名前の通り鬼を殺す隊。物騒なのかこの時代背景からしたら希望なのか分かったもんじゃない。
しかもこの組織、政府非公認ときたもんだ。怪しげな匂いがプンプンする。こんな言い回し初めてしたぐらいには怪しすぎる。
で、この継子。先ほども言った通り、その鬼殺隊の柱という役職につかないと得られないものなわけで、つまりは。
「ぁー、ということは? えぇっと? あんたは、その鬼殺隊の柱ってことでオッケー?」
「おっけー……?」
「あーっと、ごめん言い直す。あんたは鬼殺隊の柱って認識で合ってる?」
「いんや、違うが」
「はぁあああああ???」
夜はなんとも音が響く。いや待ってこいつ何言ってんのなんなの? え、違うの鬼殺隊じゃないのなんなの? はい??
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ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» もうそんなに経つんですねぇ……。長いようで短い一年でした。いつもありがとうございます!映画公開、円盤発売後からも再開するので、またよろしくお願いします!! (2020年7月11日 9時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 気づけばもう神様の巫女は一周年ですね。本編の区切りもついたのもタイミングバッチリですね!今までもこれからも、この作品が大好きです!応援してます (2020年7月11日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» いえいえとんでもないです!ご指摘頂けたおかげで描写抜けの事にも気付けたので、私としてはありがたい限りです! わー!ありがとうございます!!迷惑なんてことないですよ!これからもよろしくお願いします! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - ユズヒさん» そうだったのですね……!私の理解が足らず、申し訳ないです。。文章の書き方が凄く好きなので、作者様の事を推して行きたいと思ってます…!ご迷惑でなければ、仲良くして下さると嬉しいです……! (2020年4月29日 2時) (レス) id: 58d60c86cb (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» なので、文字にしてある構えは抜刀をする際のものではなく、“抜刀をした後の構え”の描写となっております。もし、「いやいやそれでもやっぱりおかしいな…?」となったら遠慮なく仰ってください!ご指摘ありがとうございました! (2020年4月28日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月11日 20時