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「…………」
「あの……」
「お主……」
「は、い……」
「相変わらず……随分と、歪な形の魂をしとるなぁ?」
そう言って歩み寄ってきたその男は、私の被り物を引っ掴んで投げ捨て、そしてがしりと私の頭を掴んだ。何がなんだかわからなかった。
「どれ、少しばかり弄ってみるかの」
なにを、と言葉は出なかった。なぜならその瞬間、私の頭に激痛が走ったからだ。
今まで感じたことのない痛み。頭が割れる、どころじゃない。これは破裂だ。冗談とか洒落とかじゃなく、破裂。爆発する。脳みそが沸騰して爆発してしまう、そんな感覚。
「ぁ゙、あ゙っ……!」
言語なんて出てこない。痛みなんて言葉で言い表わせる感覚はとうに消えた。与えられるのはその言葉では形容しがたいもの。瞳が瞼の裏にひっくり返って、空いた口からはよくわからない音と涎が落ちていく。
そんな刹那。ばちり、と瞳の奥がフラッシュして、頭の中を何かが駆け巡った。
ああ、これは記憶だ。私の持っていた、記憶。
所謂“前世の記憶”、というやつだった。
「こんなもんじゃろ」
手を離された途端崩れ落ちる身体。なんだか最期の時と似ているななんて頭の隅でぼんやり思ったが、身体はそれどころじゃなかった。
必死に酸素を吸っては吐いて、生命活動を維持する。頭には先ほどの余韻。地獄だった。
「お主おもしろいのー。なんじゃそれ、なぁんじゃそれは。こっちの世の輪廻に乗るには些か魂が不純じゃろうて」
呑気にそう言う男は私にしたことに対してなんにも感じていないようだった。
なんとか息が整ってきて、意識もはっきりとしてきた。頭はまだ痛んだままだけど、それでもだいぶマシになった、時に。
この男は最初の言葉を口にしたのだ。
「お主、儂の継子にならんか?」
「はあ?」
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ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» もうそんなに経つんですねぇ……。長いようで短い一年でした。いつもありがとうございます!映画公開、円盤発売後からも再開するので、またよろしくお願いします!! (2020年7月11日 9時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 気づけばもう神様の巫女は一周年ですね。本編の区切りもついたのもタイミングバッチリですね!今までもこれからも、この作品が大好きです!応援してます (2020年7月11日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» いえいえとんでもないです!ご指摘頂けたおかげで描写抜けの事にも気付けたので、私としてはありがたい限りです! わー!ありがとうございます!!迷惑なんてことないですよ!これからもよろしくお願いします! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - ユズヒさん» そうだったのですね……!私の理解が足らず、申し訳ないです。。文章の書き方が凄く好きなので、作者様の事を推して行きたいと思ってます…!ご迷惑でなければ、仲良くして下さると嬉しいです……! (2020年4月29日 2時) (レス) id: 58d60c86cb (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» なので、文字にしてある構えは抜刀をする際のものではなく、“抜刀をした後の構え”の描写となっております。もし、「いやいやそれでもやっぱりおかしいな…?」となったら遠慮なく仰ってください!ご指摘ありがとうございました! (2020年4月28日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月11日 20時