【鬼滅の刃】神様の巫女 序

＊ ページ40

「……あんた本当に邪神じゃないの？」

「まだ違うかの」

「まだって……邪神になる予定はあるんかい」


からからと笑う神様目掛けて刃を叩きつけるがこれもまた防がれた。くっそ全部防がれる〜！


「いやね、そう考えた日もありました。あいつら私を見る度に嫌そうな顔するし、ひそひそ私のこと忌み子だとか呪われてるだとか言うし、やっと大事な役目が来たって、必要とされてるんだって思ったらまさかの生贄ってふざけんなとも思うし今も思ってるけどさ。でも、それでもさ」


目の前で命を見捨てるのは、なんだか違う気がするのだ。


「手を伸ばして届くなら、伸ばしたいな、って……」

「…………そうか、そうか」


キィン。一際高い音をたてて、私は後ろに弾き飛ばされた。ざざっ、と地面に草履を擦り付けて、ブレーキをかける。


「儂はそうは思わんけどのぉ」


くつくつと笑う神様は、くるくる刀を回していた。


「まああんたは、神だからね。感性が違うだろうし、あんたの本質は無関心だからね」

「まあの。それでも儂、自分でもびっくりするくらいお主は気に入っとるよ？ ここまで儂が寵愛を与えるのは、お主が初めてじゃな〜」

「そりゃどうも」


そのおかげで私は今生きている。ありがたいけどなんか複雑だ。何が複雑って、あの地獄の修行が脳裏をちらつくからな！！


「じゃが、甘い。手を伸ばして届くなら伸ばす？ バッカじゃの〜お主。そんなん、全部が全部救えるわけはなかろうて」

「うぐっ……。分かってるけどさぁ……」

「切り捨てるものの見定めくらいは、できるようにならんとな」


ド正論、だと思う。全部救えないのも、見定めができるようにならなきゃいけないのも。
要するに、優先順位をその場で迅速につけれるようになれ、って言ってんだろこの神様は。さらっと難しいこと言ってくれるなほんと……。


「無関心を貫いて、自分が興味あるものだけに手を伸ばす方が楽じゃぞ？」

「まだその境地には行きたくないかな」


だって私は、神になる気なんてさらさらないんだから。

第9話 人間技と神業の差異→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す