第9話 人間技と神業の差異 ページ41
以前街で見かけた見世物で、高い梯子に登ってそこで芸をするものがあった。名前はそのまんま、梯子乗り、というらしい。
それを見た見物客が「正に神業だ」「あんなの人が成せる技じゃねぇ」と興奮気味に言っていたが、私はそれと真逆に何を言ってんだこいつらはと冷めた思いで眺めていた。
人間ができているのだから、それは間違いなく“人間技”なのだ。人が成せていることだから、今あの乗り手は梯子の上にいる。もしあれが神業なのだとしたら、あの乗り手は梯子の上からとうに落ちているだろうに。
帰り道にそう神様に言ったら、神様はからからと笑っていた。
「真の神業なるものを見たことがない人の子等からしてみれば、ああいうものは神業に見えるのじゃろうなぁ」
とのことだった。
お主は神たる儂が使う業を見とるから、そう感じるんじゃろ、とも。なるほど、知識を得ると人は感性も変わるのか。知ってはいたけどそれを感じるのは初めてかもしれないと思ったものだ。
そういえばこの髪と目の色について、神様に聞いたことがある。なんでこんな色なのか、って。
そうしたら神様は、自分の顎を撫でながらううんと唸った。
「魂に不純物が混じっとるからじゃろうなぁ」
「不純物」
「前に言うたじゃろ? お主の魂は不純じゃと。別の世界から転生しとるからかの。その混じっとる不純物の影響で、お主の容姿は普通とはかけ離れとるんじゃないかえ?」
「ふぅん……?」
「それか、お主を頼まれた日の晩の月の色が染み込んだ、とか。まあこれはさすがに非現実的かの〜」
「え、いいじゃんそれ。ちょっと幻想的っていうかロマンがあって素敵。採用」
「お主そういうとこほんと自由じゃよね」
目の色に関しては、住んでいた家の近くに菖蒲がいっぱい咲いていて、それを長いこと見てたからじゃないかという推測に至った。もちろんこれも採用したけど、他の人にこの説明をするかはちょっと微妙。
だって結局、理由はどうあれ私が周りと比べて珍しい見た目をしているのに変わりはないんだし。
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ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» もうそんなに経つんですねぇ……。長いようで短い一年でした。いつもありがとうございます!映画公開、円盤発売後からも再開するので、またよろしくお願いします!! (2020年7月11日 9時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 気づけばもう神様の巫女は一周年ですね。本編の区切りもついたのもタイミングバッチリですね!今までもこれからも、この作品が大好きです!応援してます (2020年7月11日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» いえいえとんでもないです!ご指摘頂けたおかげで描写抜けの事にも気付けたので、私としてはありがたい限りです! わー!ありがとうございます!!迷惑なんてことないですよ!これからもよろしくお願いします! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - ユズヒさん» そうだったのですね……!私の理解が足らず、申し訳ないです。。文章の書き方が凄く好きなので、作者様の事を推して行きたいと思ってます…!ご迷惑でなければ、仲良くして下さると嬉しいです……! (2020年4月29日 2時) (レス) id: 58d60c86cb (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» なので、文字にしてある構えは抜刀をする際のものではなく、“抜刀をした後の構え”の描写となっております。もし、「いやいやそれでもやっぱりおかしいな…?」となったら遠慮なく仰ってください!ご指摘ありがとうございました! (2020年4月28日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月11日 20時