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Qes,07_鎖の契約 ページ8

(Side,森)


先代が地下牢に繋いでいたという異能者。
どんな凶悪な異能者かと思えば、可愛らしい少女だった。

異様なのは、目許を覆い隠す黒い布。




「長話するのも面倒だから単刀直入に云うとね、私は君をマフィアに連れ戻したいのだよ」


『そう、仰有(おっしゃ)られると思っていました』




年齢は聞いていないが、受け答えはハッキリしていて、とても大人びているように感じる子だ。
彼女の膝の上で微睡む黒猫も少し気になる。




「私の下でその異能を駆使して仕事をしてみないかね」


『それは私の異能の全容を知った上でのお誘いですか』


「全部では無いかな」


『……聞き方が意地悪かったですね。私は構いませんよ。黒に身を埋める事には慣れています』




彼女が私の誘いに頷く事が意外だったらしい太宰君は、驚いたような顔で彼女を一瞥した。




「君……」


『最近周りの環境が芳しく無いんです。私も大きな組織の庇護下に入る時期だと思っていました』


「周りの環境……?」


「何処かの組織に手を出されたかね」


『その……煉獄(カサルティリオ)って、ご存知だったりしますか?』




カサルティリオ。
ギリシア語で“煉獄”を示す言葉だ。
カサルティリオと云えば、手練れの異能者組織で、この横浜界隈でも名前を聞く事がある。




「あぁ、知っているよ。旧九十九財閥の裏の顔だろう?」


『はい。其処に少し追われていて、本当にたまになんですけど喧嘩を吹っ掛けられるんです』




何故……?
彼女の素性を知り得る人物はそう多くは無い筈だ。知っているとすれば先代の頃よりマフィアに居る者。
その他に彼女に関連する人物が居るとでも……?




「何が目的で君の事狙ってるのだろうね」


『さぁ?』




嗚呼。
彼女は自分が彼等に追われる直接的な理由は知らずとも、追われる心当たりはあるようだった。




「今、自宅は市内かね?」


『はい』


「なら其処を引き払って此方に来るといい。私室を用意しておくからね。太宰君。荷物を運び込むのを手伝ってあげなさい」


「……分かりました」


『別に自宅からでも通え____』


「それは駄目だ。先程の話からすれば自宅は危険だろう」


『……ですね』




彼女を手放すのは惜しい。
それこそ、この手元に収めていた方がいい。この逸材を彼方なんかに掠め取られるのは御免だ。

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管理番号:K2513-无-〇二四二

異能力【万華鏡(バンカキョウ)】通称“百目鬼”の使用する千里眼類似異能力。“殺人千里眼”とも呼ばれる非常に危険な異能である。また、継続した長時間使用の副作用として目の痛みや発熱、一時的な視力低下・失明を招く場合がある


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設定タグ:文豪ストレイドッグス , ポートマフィア , 黒の時代   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:綺弌 | 作成日時:2019年1月27日 1時

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