【カゲプロ】いい夢視ましょう？-目を閉じる話-

イニシエーションロスト-Two- ページ41

先ほどずぶ濡れでアジトにやって来た少年ヒビヤ君は、只今僕らの浴槽で雨で冷えた身体を癒し中。


「ねーねーノアちゃん」


「・・・何ですかそれ？」


「君のあだ名、考えてみたんだー」


前からずっと考えていた。


彼女曰く“本物じゃない”彼女は、“荻野愛生じゃない”彼女は、


今は結局、誰でもない彼女は、


何て呼ばれれば、喜ぶのだろうかと。





「・・・ノア、ですか」


今までそんな風に呼ばれたことはない、と、彼女はすこし驚いた表情を見せる。


「・・・ノア、いいですよ。
今度からそう呼んで下さい」


どうやらこのあだ名を気に入ってくれたようで、「あだ名・・・いいですね」と一人呟いていた。


「・・・まあ、これも僕が“本物”を見つけるまでだけどね？」


みんなには聞こえないように、ひっそりと呟く。


すると彼女は、


「それでも構いません。
カノさんが考えて下さったんでしょ？それだけで嬉しいですよ」


・・・なんて恥ずかしい事を恥ずかしげもなく言ってみせた。


・・・可愛い←


「あー、今何かやらしいこと考えましたね？
そういう意味はないので安心してください」


いつものキドたちの前で見せるノリで、でもどこか壁のある敬語で、彼女は告げる。


安心はしたくなかったなー、なんてw←


・・・なんて、思ってしまう僕。





もちろん、今僕の目は真っ赤に染まりきっているだろう。





笑顔で、気さくで、どこか壁がある彼女。


もっと色々な表情を、見てみたい。


ーもちろん、全部法螺咄だけどね？ー

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