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NOside
―理事長室―
「いやぁ10-0か。厳しいねぇ」
理事長室の窓際からグラウンドを見下ろす影が二つ。
少女――雷門夏未はふぅ、一つため息をついた。
「元々わかっていたことじゃない、彼らが負けることなんて」
「さぁどうだろう」
「…まさか、勝算があるとでもいうの?この状況で?」
夏未は怪訝そうにもう一つの人影――中世的な見た目をした人物を見やった。
声的には少女だろうが制服は男子生徒の物であり、顔立ちも少女というよりは少年と言えるような相貌だった。
「それは誰にもわからないさ。
…けど、勝利の女神ってやつは、諦めない奴らが大好きらしいよ?」
ふふっ、と少女は不敵な笑みを浮かべた。
「それに、帝国学園御一行は彼らと勝負をしに来たわけじゃないみたいだし」
視線を夏未から帝国イレブンへ向ける。
そして、目を細め
「…全く。あんなサッカー、私は君に教えた覚えはないんだがな」
吐き捨てるようにつぶやいた。
・
Aside
後半戦、私は宍戸と交代しグラウンドに立つ。
帝国からのキックオフで始まり、ボールはいきなり鬼道君へと渡った。
「行くぞ。…デス・ゾーン開始」
彼の指示で、帝国学園の選手たちが上がっていく。
…やっぱり、彼らの目的は…。
「そして、奴を引きずり出す!!」
このサッカー部などではなく、豪炎寺君だったんだ。
「「「デス・ゾーン!!」」」
帝国学園の強力な必殺技、デス・ゾーンが守の抵抗虚しくゴールに突き刺さる。
『…染岡ぁ。次さ、私にボール回してくれない?』
「いいけどよ…なんか考えでもあるのか?」
『任せて。…一言、くそって言わせてくる』
「いや、お前は何と戦ってんだ…?」
見てろよ…こっちだって伊達にあんたらの情報集めてきたんじゃないからな…!
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作者名:白 | 作成日時:2021年11月7日 20時