甘く溶かして抱きしめて。【sha】 ページ9
｢たーだいまー…
はぁぁ、ホンマ疲れたわぁ｣
誰に言う訳でもない言葉を投げながら
玄関の扉を閉めて靴を脱ぐ
ネクタイをほどきながらふと時計を見ると
昨日より1時間半くらい帰宅が遅いことに気づく
｢は゛ぁークソ、彼奴面倒な仕事押し付けやがって…｣
誰に言うでもない独り言を漏らして
1番奥の部屋に向かう
3重にロックされた扉の鍵を1つずつ外していく
ひとつ開けるたびに
えも言われぬ感情が心にじわじわと染み込む感覚が
体に響いて止まらない
最後の鍵を外し、
重い扉をゆっくりと開く
目に飛び込むのは
1面黄色の部屋
壁も天床も天井も家具も
全てが黄色の防音室
部屋の真ん中にふと目をやると
大きな豚のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて
小さく蹲る彼女の姿があった
｢A、ただいま。｣と声をかけると
ぬいぐるみに埋めていた顔をばっ、とこちらに向け
若干焦点の合わない目で俺を捉える
｢あ…、あ、しゃ、しゃおちゃ、
しゃおちゃん！わ、わたしまってた、まってたよ…！｣
そう言いながら彼女───Aは
ふらつく足取りで俺の足元に来る
｢ね、ねぇしゃおちゃ、わた、わたしね
いっぱいがんばったんだよ…！
えへ、しゃおちゃんがかえってくるまで
わたしいい子にしてたんだぁ〜…♡｣
そう言いながらスーツを引っ張るAの姿は
まるで飼い犬みたいに見えた
｢せやなぁ、それで？｣
｢えぁ、だ、だからね
お願い、Aにいつものやつ、ちょうだい…？｣
そう言うと目を潤ませて俺に縋りついてくる
意図していない上目遣いの目線が俺を煽っている
────────ぷつん
何かが音をたてて切れる
どろどろと湧き上がる感情に呑まれ
俺の顔は酷く歪んでいく
｢えー、やだよ｣
笑いながら言うと
Aは顔をサーっと青くする
汗と涙がじわじわと溢れだしている
｢え、あ、…なんで？なんで？しゃおちゃ、
わたし、な…なにか…し、しちゃった？｣
｢だってさぁ、A、
俺が帰ってきたのにただいまも言ってくれへんもん。
あーあ、ちゃんと挨拶できない子は要らんなぁ〜。｣
黄色い部屋に落とした声は
彼女を震わせるには
どうやら丁度良かったみたいだ
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ぽやま。(プロフ) - mariaさんコメントありがとうございます！設定はかなり意識してます！気づいて貰えて嬉しいです✨ (2023年2月19日 19時) (
レス) id: 23fa074e26 (このIDを非表示/違反報告)
maria - 占い師コネシマ・・・たしかに魔主役の最後のあとがきで祈禱師コネシマっていっていたけれど・・・ (2023年1月16日 1時) (レス) @page42 id: 2d8c9edfbf (このIDを非表示/違反報告)
ぽやま。(プロフ) - 塗さん有難うございます！更新は遅いですが見て頂けて嬉しい限りです！ (2023年1月3日 0時) (レス) id: 23fa074e26 (このIDを非表示/違反報告)
塗 - この作品、私のお気に入りです‼️最近寒いので、体調には気を付けて下さいね。 (2022年12月7日 7時) (レス) @page6 id: d1b072df9a (このIDを非表示/違反報告)
ぽやま。(プロフ) - 朝さんコメントありがとうございます！感想嬉しいです。続きぜひぜひ楽しんでください (2022年5月21日 14時) (レス) @page26 id: 215bd6f50b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽやま。 | 作成日時：2022年1月20日 8時
