祈りだなんて。【os】 ページ27
(異世界os)
｢罪人Aよ
貴様を死刑に処す｣
無機質で硬い声が、私の死を告げる
｢っ！何故、何故です！！
私は何もしていません！何も───｣
腕を無理矢理引っ張られて
牢へ移動させられる
私の声は雑音となり、空気の中に消えた
それが、つい先日の出来事
壁を見つめていた目が霞んで、はっと意識を戻した
もう、疲れた
働いていた屋敷で起こった殺人事件
｢唯一アリバイがないお前が犯人だ｣と濡れ衣を着せられ
見事死刑になってしまった
ふと腕を見ると、不健康に痩せていた
食事が喉を通らなかったからだろうか
｢…あーあ、死にたい…｣
｢Aさん、そういった考えはよくありません。
神に祈りを捧げて、声を聞けば
その気持ちも晴れると思いますよ。｣
独り言に返事が返ってきて、格子の外を見る
｢お久しぶりです、Aさん。｣
オスマン枢機卿の姿がそこにあった
確か、死刑囚の更生のために
わざわざ教会から来て話を聞いたり
懺悔や祈りの手伝いをするんだっけ
もう死ぬだけの人間に
なんでそこまで尽くそうとするんだろう
｢…神に、祈り…？
冗談じゃない…
神様なんて、救ってくれなかったのに
どうして私が祈りを捧げないとならないの？
…嫌いだ。神様なんて、嫌いだ…！｣
身体中の空気を吐き出すように叫ぶ
もう何も信じたくないの
神様も、人も
｢…ふむ、そうですか…。｣
オスマンはぽつりと呟くと
絡めていた指を離して
｢…では、私を信じてください。｣
と、手を差し伸べてきた
｢…は、どういう事…？｣
｢言葉通りの意味です。
人は生きる源が必要ですから。
私は、貴方が犯人ではないと知っています。｣
その言葉に、思わず顔を上げた
｢なんで、どうして…
だって裁判官も、信じてくれなかった…！｣
｢私は貴方を信じているので。
貴方は殺人などしていない。…そうでしょう？｣
なんで、私が犯人じゃないって知ってるの
私がその言葉をずっと待ってたって、
もう出ないと思っていた涙が溢れ
それは床へと落ちていった
｢Aさん、今ならまだ間に合います
どうか私の手を取ってください
貴方が此処で死ぬ事を、神は望んでいませんから。｣
一瞬だけ見えた深緑が私の心臓を貫いた
もう人を信じたくない
だけど、生きたい。死にたくない
無意識に、私は枢機卿の手を取っていた
この人だけは、信じてみようか。と。
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ぽやま。(プロフ) - mariaさんコメントありがとうございます！設定はかなり意識してます！気づいて貰えて嬉しいです✨ (2023年2月19日 19時) (
レス) id: 23fa074e26 (このIDを非表示/違反報告)
maria - 占い師コネシマ・・・たしかに魔主役の最後のあとがきで祈禱師コネシマっていっていたけれど・・・ (2023年1月16日 1時) (レス) @page42 id: 2d8c9edfbf (このIDを非表示/違反報告)
ぽやま。(プロフ) - 塗さん有難うございます！更新は遅いですが見て頂けて嬉しい限りです！ (2023年1月3日 0時) (レス) id: 23fa074e26 (このIDを非表示/違反報告)
塗 - この作品、私のお気に入りです‼️最近寒いので、体調には気を付けて下さいね。 (2022年12月7日 7時) (レス) @page6 id: d1b072df9a (このIDを非表示/違反報告)
ぽやま。(プロフ) - 朝さんコメントありがとうございます！感想嬉しいです。続きぜひぜひ楽しんでください (2022年5月21日 14時) (レス) @page26 id: 215bd6f50b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽやま。 | 作成日時：2022年1月20日 8時
