過去と、秘密と、闇と、光と。

＃２５ ページ28

翼ｓｉｄｅ

アーヤが突然、倒れた。


何度呼びかけても反応がなく、保健室に猛スピードで運んだ。


今は保健室で寝ていて、俺はアーヤが起きたときのために、


ポカリを買いに保健室を出たところ。


保健室の先生によると、栄養不足、睡眠不足、水分不足、ストレスからの疲労と、


この暑さでの熱中症が原因だそう。


気づかなかった。


アーヤが毎日、学園の誰よりも早く登校して、自分以外の仕事までやっていること。


最近、昼ご飯も食べずに、学園のために動いていること。


放課後も必ず残っては、働き、そして、迎えの車で財閥の仕事をしていること。


毎日、クマを隠して、笑顔で周りに心配されないよう、気を貼っていたこと。


そして、忘れていた。


彼女は常に、自分のことは二の次で、周りを最優先にしていることに。



俺は自分のことしか見えてなかった。
アーヤを取り戻したい一心で、肝心のアーヤのことを見えてなかった。
ほんと、心の友、失格だよな。



戻ってくると、保健室の先生は消えていて、


カーテンに、横たわるアーヤと、それを見守る涼川のシルエットが映る。


俺はカーテンを開けて、涼川と同じようにアーヤが起きるのを待とうとした。


だが、その直前で、ぴたりと全身の動きが止まった。


『う・・・ん・・・・お、とう、さ、ま・・・・。』


ガタッと椅子の音がする。


「彩ちゃん！？」


涼川の声に反応はなく、どうやら寝言らしい。


『・・・おか、あさ、ま・・・いかな、いで・・・』


『れ・・・・れ、おく、ん・・・？』



れおくん？
涼川と同じ名前・・・まさか・・・？



『わた、、しを、、、おいて、、、かな、い、、で、、、』


その悲しそうな声に、涼川が涙声で小さく言葉を放つのが聞こえた。


「うん。ひとりにしてごめんね、彩ちゃん・・・。
これからは、ずっと一緒にいるからね・・・・絶対。・・・僕はここにいるよ。」

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