巾着袋は知っている。

つけられてる!? ページ10

外に出ると、もう周りは真っ暗だった。

周りの建物の明かりや街灯すらないから、本当に真っ暗。
慌てて腕時計を見ると、まだ6時半だった。

明かりがないだけで、こんなに変わるんだ･･･
･･･ちょっと怖い･･･


「今日はみんなでアーヤ送るぞ！もう暗いし、さっさと行こーぜ。」

みんなと一緒に帰れる！
これだけ大人数なら、安心だよね！


ホッとしてると、肩に大きなコートがそっとかけられた。
後ろを見ると、ベスト姿の黒木君が微笑んでいた。


「寒いんじゃないかと思って。サイズ大きいだろうけど、ないよりはいいからね。」

そう言って艶やかな目で見つめられ、顔がポッと熱くなった。

･･･黒木君のこの目って、ほんとアブナイ･･･
今もクラっときちゃったし･･･
こんな目で見られたら、女の子はみんなイチコロだろうなぁ


10分ぐらい歩くと、目の前に十字路が見えた。

右は確か大通りだよね
右側から少し音が聞こえるし
前と左は･･･
うわっ、すごい真っ暗･･･
できれば大通りに出たいなぁ


そう思ってると、黒木君が口を開いた。

「･･･みんな、話し中悪いけど、俺達付けられてる。」

えっ！？

驚いて足が止まりそうになると、翼に腕を引っ張られた。
「止まんないで。気付かないふりして普通に歩いて。」


ふ、普通にって言われても、一度意識しちゃうとなんだかぎこちなくなる･･･

手と足がぎくしゃくしながらも、なんとか普通に歩くと、黒木君がクスッと笑った。


「なんか前もこういうことあったよな。あの時はただの中学生だったけど。」
「ああ、あの時は金目当てだったよな。今回も金か？俺今日小銭あんまし持ってない･･･」
「いや、金目当てだったら人数少なくねえか？足音からして5人くらいしかいないだろ。待ち伏せもされてないみたいだし」


翼が私の腕から手を離し、マスクをさっととった。
前を向いたまま何度が大きく深呼吸をして、微笑を浮かべた。

「相手は5人。後ろにしかいない。他の道も人の気配ナシ。でも相手は結構ガタイいいっぽい。どうする？」


「･･･だれか、なんか狙われる理由に心当たりがあるやつ、いるか？」

若武の問に、黒木君が後ろに気づかれないようにサッと手をあげる。

「まあ、普段から色々やってるからね･･･。」

そう言ってまたクスッと笑う。


笑い事じゃない！
って言いたかったけど、つけられてる恐怖と黒木君の醸し出す色気で言葉が出なくなってしまった。

黒木君って、ほんとに何者･･･？

追いつかれる!!→←現場検証だ！

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