巾着袋は知っている。

やるしかない！ ページ7

土曜日、秀明の最後の授業。
私はその時間にあることを決意した。

玄関には私が1番近いから、みんなが玄関前に集まる前に秀明を出て若武の家に向かうんだ！
翼は秀明じゃないから早いかもしれないけど、その時は先に行くと伝言を頼めばいいし、早い時間ならまだ野次馬も少ないだろう！･･･多分･･･
もしいなくても公衆電話で誰かに言えばいいしね！

よしっ、完璧！！
これはもうやるしかない！！

決意を固めながら時計を見ると、もう授業終了5分前だった。
･･･今日の授業、全然集中できなかった･･･
･･･い、いや！それよりも帰る準備しよう！


そして私は授業終了と共に、全力疾走で玄関に向かった。
どうか、誰もいませんように！！


そう必死に願ったものの、願いは叶わず･･･
それどころか、なぜか大量の野次馬がいた。

「きゃー！かっこいいー！！」
「えっ、なんでこんな豪華なメンバーが揃ってるの!?」
「もうそんなのどうでもいいよ。とにかく拝めるうちに拝んどかなきゃ。」
「あー、ほんと目の保養だわぁ。」

こ、これはもしや･･･
恐る恐る野次馬の先を見たら、メンバー全員がすでに集合していた。

な、なんでいるの･･･

ガクッと肩を落としていると、若武と目が合った。
あ、やばっ･･･

「あっ、アーヤ発見。」

気づいた時にはもう遅く、周りの野次馬がみんな振り返るところだった。

ば、ばか武ー！！
こんなところでそんな事したら、すごく目立つじゃないのー！

案の定周りからは、色々なささやき声が聞こえてきた。

「え、なにあの子。誰かの彼女？」
「違うでしょ、誰とも釣り合ってないし。」
「てかあの子前もいたよね？なんなの？調子乗りすぎじゃない？？」
「ほんとだよね。あのメンバーを独り占めとか、何考えてんの？たいして可愛くもないくせに。」


あぁ･･･
中傷の嵐だ･･･
こうならないためにやろうって決意したのに･･･
やれなかった･･･

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