巾着袋は知っている。

当たり前の言葉 ページ42

｢医者によると、立花の身体は大事無いらしい。外傷も、傷跡も残らなくてすぐ治る程度だ。｣

上杉君がそう言った時、私も含めてみんながほっと息をついた


よかった〜
さすがに顔とかに傷が残るのは、嫌だったんだよね･･･
あの時は必死で気が付かなかったけど、額の他に頬に大きな切り傷があったみたいで･･･
それが跡になったらと思うと･･･少しゾッとする･･･


ほとんどの人が安心しきっていると、上杉君が苦々しい顔をしながら口を開く

｢･･･ただ、今回みたいな場合は精神的なショックの方が大きい。｣


そして今度は私の方に向き直り、何かを決めたような顔をしてまた話し出す


｢立花、今回の件で日常生活に支障をきたすかもしれないし、忘れた時にフラッシュバックとかで思い出しちまうかもしれない。
でも、これだけは忘れないでくれ。俺･･･いや、俺達は、お前のそばにいる。お前が困っていたら絶対に助ける。もうお前を、危険な目には遭わせない。お前には俺達がついてる！｣


上杉君の強い意志に、他のみんなは圧倒される

そしてみんなで一瞬目を合わせ、大きく頷く
‘俺達も同じだ’と言うように


｢･･･今こんな状況で言われても説得力ないかもしれないけど･･･｣
｢そんなことない！｣


上杉君がバツが悪そうに言うのを見て、まだ圧倒されていた私は慌てて声を出す

慌てすぎて食い気味になった上に、声が思ったより大きくなったから少し恥ずかしくなりながら言い直す


｢･･･上杉君が言ってくれたこと、凄く嬉しいよ。私も今回の事で、改めて実感したよ。私にとってKZは、なくてはならない存在。そして、私の根本にあるものを育てて、支えてくれてるんだなぁって。
だから、えっと、その･･･｣

そこで1回区切り、みんなの様子をチラッと見ながら少し迷う
でも、言おうとしてた言葉は止まらずにそのまま口から出てしまった


｢･･･本当にありがとう！これからも、よろしくね！｣


それはごく当たり前の事だけど、なんだか言うのに照れちゃって少し赤くなってしまった


みんなを見ると、黒木君と翼と忍以外はなんだか顔が赤くなっていた



･･･はて？
おかしなこと言ったかな？

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