巾着袋は知っている。

違和感 ページ39

上杉君が真剣な顔をして話があるって言った時には、正直驚いた
今までに見たことないくらい深刻な顔してたし、なんだか改まってたから何事かと思った


だから、上杉君の話を聞いた時も少し驚いた


･･･上杉君が、こんなに責任を感じていたなんて･･･


でもすぐに納得できた


確か前にも、こんなことあったな･･･
あっ！
『黄金の雨は知っている』の時だ！

あの時も上杉君、今みたいに自分を責めてたよね･･･
上杉君は潔癖だから、きっと自分の事が許せないんだろうな･･･
でもやっぱり、それじゃあ上杉君がかわいそうだよ･･･


上杉君を見ると、まだ頭を下げたままだった


･･･上杉君が、こんなに責任を感じる必要なんてない
どうしたら、上杉君が気を持ち直してくれるかな？


少し考え、一度深呼吸をしてから声をかける


「･･････上杉君。頭を上げて？」


上杉君が頭を上げ、しっかりと目が合ったのを確認してから話し始める


今の上杉君には、多分心から思ってる事じゃないと伝わらないと思う

だから、私はその時思った事をありのままに言ったんだ
前にも言ったことがあるのも混ざっちゃったけど、でもそれが私の本心だった


言い終わると、私はちょっとすっきりした気分になって上杉君に笑いかける


上杉君はしばらく私をじっと見ていたけど、急にバッと上を向いて動かなくなってしまった


その様子におろおろしながら何も言わずに見守っていると、しばらくして上杉君が私に向き合って笑いかける


「ありがと、立花。お前がそう言うと、ほんとにそんな感じがするな。･･･本当に感謝する。」
「･･･そんなことないよ。本当の事言っただけだから･･･」


返事はしたものの、上杉君の笑顔に思考が止まりそうになる


KZのみんなは頭脳も容姿もかなりのレベルだから、そんな人が笑顔を見せたりしたら周囲は黄色い声の嵐になるんだけど･･･
私も例外じゃなくて、みんなの笑顔を見たらその輝きに思わず顔が赤くなっちゃうぐらい


でも今の上杉君の笑顔は、なんか引っかかる･･･


･･･あれ？
上杉君って、笑った時こんな感じだったっけ･･･？
･･･なんか、こう･･････心から笑ってない気がする･･･



そう思ったものの、本人には言えずに時間が過ぎていった

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