第四十七話「再会」 ページ49
「さあ、敦君。仕事は終わりだ。社に帰ろう。」
長身の男はまた敦君と言い、呼び掛ける。
「はい、太宰さん。」
聞いた事のある声が、私は彼に対しての関心を高める。
そう、そこには久々に見る友人である奇抜なファッションをした彼が立っていたのである。あの白い獣は中島君だったのか、そんな疑問はさて置き。
「中島君!」
「へ?Aさん!?」
約何日ぶりだろうか、私は中島君の所までまるで少女漫画の様なキャッキャウフフみたいな走り方をして近寄る。
「お久しぶりですAさん!」
「久しぶり、中島君!」
見てて元気を貰える様なとても明るい笑顔で私の名前を呼ぶ中島君。嗚呼、癒しだわ。
「もしかして人質だったんですか?怪我はありませんか?」
「大丈夫よ、中島君のお陰で怪我はないわ。」
「ちょっと待って待って。え?」
私達の温かな会話の中に長身包帯男は血相変えた表情で水を差す。なんだコイツ。
「貴女、何時ぞや喫茶店で会った美女…ですよね?何故、敦君とこんな仲睦まじく…!?わ、私の事は覚えていないのですか?」
「知らないわ、誰よアンタ。」
「グアァアッ!クールビューティ!」
私の言葉に傷付いたのか傷付いて無いのか分からない反応を取りながら後退りし頭を抱える包帯男。五月蝿い。
「あっ…敦君!君は鏡花ちゃんやモンゴメリちゃんと言う美少女が居るのにも尚、こんな美人を誑かして!あぁ!!」
「人聞きの悪い事言わないでください。」
「是非!私と心中を!!麗しき貴女。」
彼は私の目の前で屈み、手を差し伸べ意味の分からない事を言う。その光景を中島君は深い溜息を吐き、頭を抱える。
「する訳ないでしょ?目障り。」
「んァァァ!!その反応とても、素敵です。
私の名前は太宰治。以後、お見知り置きを。」
すると彼は私の手を取り、手の甲にキスしたのである。
「あっ、ちょ太宰さん!!」
太宰という男が私の手の甲にキスした瞬間、条野さんが何故か分からないがまたフラッシュバックしたのである。
宴会で抜け出した夜、私彼に手の甲にキスされたっけ。あの時は彼が酒の飲み過ぎを考えたが、確か彼は酒を飲んでいなかったっけ。
恥ずかしさが胸の奥底から湧き出て、それと同時によく分からない感情が私を襲う。
そしてその感情はよく分からない力に変換され、私はつい、太宰という男の顎に膝蹴りを入れてしまったのである。
作者からの次回予告&あとがき「読んでくれ」→←第四十六話「武装探偵社」
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肉塊(プロフ) - 冬斗さん» わーいありがとうございます〜もっと頭悪い小説にするので何卒〜 (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - そう言っていただいて嬉しいです…!作品いつも楽しく読ませて貰ってます! (2022年7月28日 10時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» いや草。誤字の指摘、ありがとうございます。あと自信を持って下さい。何回も謝る様な事貴方様言ってませんよ( 'ч' ) (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - なってしまいます。うぅ…文章が長くなってしまいすいません…失礼しました… (2022年7月28日 9時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - すいません…自分なんかが初コメでおこがましいと思いますが、第四十七話の「再会」の最後の方で『あの時は彼が』の後が『鮭の飲み過ぎ』になっていました。恐らく『酒の飲み過ぎ』だと思います。このままでは夢主の中で、条野さんがしゃけを飲んで酔う人に (2022年7月28日 9時) (レス) @page49 id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2021年9月24日 3時