第十二話「Darling」 ページ13
「元々、彼の存在が無くとも僕は君を拐って世界を回ろうと思っていたんだ。でももうその計画は良い。君はもう汚れてしまったんだ。」
汚れた。勝手に人が汚れたとか決めて欲しくないものだ。正直私は彼奴とは付き合っていないし、誰かと付き合う予定もない。本当に一人、静かに過ごしたいだけなのだ。
ただ、それだけなのだ。
他人にどう思われようがそんなの私には関係無いし、
私が皆をどう思おうとそれは私の勝手である。
田中は私の事を熱烈に慕ってくれている。が、私は自分の勝手でその気持ちを見ないでいた。興味無かった。
他者に認められる様に自分を磨く事は素晴らしい事だ。だが私は興味が無かった。
私は酷い人間だ。
もし私が他人に興味があり、この人に笑いかけたら、
きっと、彼は
「ごめんなさいね、私。汚れた自覚が無いの。」
「謝ったって、僕が惚れた中本さんはもう戻らないよ。」
「ええ、貴方の愛する私は居ない。
そもそも先ず、私は皆の思う様な人間では無いの。
確かに他人は苦手だわ。コミュニケーションが面倒臭いもの。
でも、確かに大好きな人は居るの。行きつけの喫茶店のオーナー。彼は優しくて、いつも美味しい珈琲を淹れて私に優しく声をかけてくれる。
今日初めて雪女って言われてることに気付いたわ。フフ、私は人を凍らせる事なんて出来ないのに。こう見えて、私は心の中で結構叫んでいるの。巫山戯るな〜!!とかお腹空いたー!とかこの本面白〜!って。驚いた?」
ペラペラと喋り出す私に田中は幻滅した顔で「止めろ、止めてくれっ!」と両手で私の首を強く縛り始めた。
「グッ…ゥア…」
「死んでくれ、もう、僕の君が壊れるのを見たくない…!」
すると彼はハッと何かに気がついたのか次第に力を緩め、こう言い放った。
「僕は、何がしたいんだ?愛していた人を殺して、何がしたいんだ?僕は、一体…。」
完全に彼は手を離し自暴自棄になり、頭を激しく掻き毟る。すると、ドアの窓に人影が映る。私はその影を見た瞬間、笑いが込みあがってきた。
「フフ、田中克彦君。あとひとつ、私の心は暖かいわ。何故なら私はある一人に守られているもの。彼はとても変人だけれど私はそんな彼との時間が。」
「お願いだ、壊れないでっ」
「ダーリンと一緒に居ると、凍った心が暖まるの。
ねぇ!ダーリン!私を守ってよ!」
勢い良くドアが蹴破られ、其処に一人、微笑む彼が立っていた。
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肉塊(プロフ) - 冬斗さん» わーいありがとうございます〜もっと頭悪い小説にするので何卒〜 (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - そう言っていただいて嬉しいです…!作品いつも楽しく読ませて貰ってます! (2022年7月28日 10時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» いや草。誤字の指摘、ありがとうございます。あと自信を持って下さい。何回も謝る様な事貴方様言ってませんよ( 'ч' ) (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - なってしまいます。うぅ…文章が長くなってしまいすいません…失礼しました… (2022年7月28日 9時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - すいません…自分なんかが初コメでおこがましいと思いますが、第四十七話の「再会」の最後の方で『あの時は彼が』の後が『鮭の飲み過ぎ』になっていました。恐らく『酒の飲み過ぎ』だと思います。このままでは夢主の中で、条野さんがしゃけを飲んで酔う人に (2022年7月28日 9時) (レス) @page49 id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2021年9月24日 3時