第十一話「ありふれた犯行動機」 ページ12
「僕の名前、覚えてる?」
狭い倉庫部屋で四人。二人の部下と思われる装備した男二人と、忌々しい彼は、キツく拘束された私をまるで愛おしい程に見つめる。
「莫迦じゃないの?有象無象の名前なんて一つ一つ覚えてる訳ないでしょう。」
「流石中本さんだ。その冷血な態度。堪らない。いつもどう話しかけるか考えていて話しかけられなかったんだ!」
雄弁に語る彼。
「僕の名前をもう一度言うね。僕の名前は田中克彦。『カルメンの穴あきくつした』っていう同好会のリーダーさ!」
「同好会?至る所に穴を開けて人を平気で殺す集団が、同好会?犯罪集団に言い換えなさい蝿。」
「君のせいだよ。」
「は?」
田中は私の髪をひと房触り、匂いを嗅ぐ。気持ち悪い動作に私は気分を害し彼の脛を勢い良く蹴った。すると部下らしき男が私の肩を撃ち抜いた。
「グッ…ガァッ!!」
「…君は異能を知っているかい?先刻僕が見せた魔法さ。」
そう言うと田中は私を撃った部下の頭を優しく撫でる。部下は呼吸が荒くなり、涙を流し「済みませんボス!!」と遺言を遺し。
「ほら、見ての通り僕は穴を空ける能力があるんだ。」
頭に大きな穴を空けられた死体は私の足元に転がり込みむ。ズキズキと痛む血塗れの肩の感覚がその恐怖心で鈍くなっていく。
「なんで…こんな事するの?」
下手をすれば私も殺される。少しでも時間を稼ごう。今頃あの幼女が頑張ってくれている筈。耐えねば。
「ある日、入学して間もない時、僕は君に一目惚れしたんだ。
「君は冷たく、話しかける人全員を華麗に無視する。暴言を吐く。素敵だ。
「ますます僕は君の事が好きになった。
「僕は君に見て貰えるように自分の外見を磨いた。
「だが君は見向きもしない。
「君は全てに興味が無いって分かったんだ。
「僕は君に見てもらいたくて、だから
「世界中を混乱させた。
「政府の役人も、探偵も、マフィアも、子供も、老人も、あらゆる人間をだ。
「だけど君は、
「今日に至るまで僕達の存在を知らなかった。
「そんな君が、愛おしいと感じたよ。
「誰にも靡かない。
「誰も愛さない。
「そんな君が、
「なのに、
「なのになのに、何故
「誰だ彼奴は
「彼奴は彼奴は何なんだ
「気持ちが悪い。
「君は誰にも靡かない、素敵な
「女性の筈だった
「あの男がっ
「彼の存在一つが
「君の汚点になったんだ。」
第十二話「Darling」→←第十話「Disillusioned」
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肉塊(プロフ) - 冬斗さん» わーいありがとうございます〜もっと頭悪い小説にするので何卒〜 (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - そう言っていただいて嬉しいです…!作品いつも楽しく読ませて貰ってます! (2022年7月28日 10時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» いや草。誤字の指摘、ありがとうございます。あと自信を持って下さい。何回も謝る様な事貴方様言ってませんよ( 'ч' ) (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - なってしまいます。うぅ…文章が長くなってしまいすいません…失礼しました… (2022年7月28日 9時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - すいません…自分なんかが初コメでおこがましいと思いますが、第四十七話の「再会」の最後の方で『あの時は彼が』の後が『鮭の飲み過ぎ』になっていました。恐らく『酒の飲み過ぎ』だと思います。このままでは夢主の中で、条野さんがしゃけを飲んで酔う人に (2022年7月28日 9時) (レス) @page49 id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2021年9月24日 3時