・ ページ22
「お前らでいいから吸い出してくれよぉ！！毒をチュッチュと！！」
「…………」
「…………。滅多に死なねぇってよ」
まるで虫けらを見るような目で地面に這う白石を見下しながら杉本が言った。
尾形は何も言わないまま、ただ無表情に白石を見ていた。
というか……。
『どんどん腫れてきたな』
「すごく痛いもんねッ！！」
白石の頭は結構な大きさに晴れ始めていた。
まだ膨らむんだろうなぁ。
「稀に死んだのが全員頭を噛まれたやつだったらどうすんだよ！！
網走監獄を知り尽くしていて潜入できるのは俺だけだぞ。俺が死んだら困るだろッ。
だからホラッ、尾形ちゃん吸ってくれよ」
必死に懇願する白石は、痛みからか焦りからか、ひ汗をかき、顔がやや青ざめていた。
かわいそ。
懇願された尾形はどう答えるのか。
まあ、分かりきってはいるが。
「歯茎とかに毒が入ったら……嫌だから」
当然のごとく尾形はその行為を拒否した。
——稀に死んだのが全員頭を噛まれたやつだったらどうすんだよ！！——
白石が苦し紛れに言ったことだが、なくもないその可能性を取り払っておいて損は無いだろうし。
私は白石をもう一度見る。
このまま白石の頭が腫れ上がっていくのを見続けるのも忍びないよなぁ……。
……仕方ないか。
私は白石の前にしゃがみこむ。
「おい、黒木？」
私は杉本の呼び声を無視して白石の頭を両手で掴む。
「おい、黒木、お前まさか……」
「く、黒木、ちゃん……？」
白石の頭に近づいていく私の口元。
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ！！！！」
『うわぁッ！』
杉本の声にならない声と共にその発信源によって白石から引き剥がされる。
『なんだよッ！杉本！邪魔すんな！』
「そうだ！俺たちの邪魔をするな！」
「なんだよはこっちが言いたいんですけど⁈白石はちょっと黙ってろッ！！」
「ぐへッ」
杉本の踵を背中に落とされた白石はシンと静まり動かなくなる。
……死んだ？
「お前、なにしてんの⁈」
心底びっくりした様子の杉本が私の両肩を離さないまま叫んでくる。
『あ？なにって、毒を吸い出そうと……』
「危ないッ！この子危ないッ！尾形、こいつを逃がすな！」
杉本がそう言うと尾形も一緒になって私を拘束してくる。
『ッなんなんだよ、お前ら！放せぇ〜〜〜〜〜〜ッ！！』
私の叫び声を聞いたアシㇼパが飛んで帰ってくるまで、時間はかからなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プスメラウィッチ(プロフ) - 私は、尾形百之助を一票します。 (4月1日 23時) (
レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - 見守るセミさん» コメントありがとうございます！！そうなんですよ！！！！もう、みんな良いんですよ！！！！だからめちゃ迷うんですよね！！！！(ˉ ˘ ˉ; ) (3月27日 23時) (レス) id: 14120fce3f (このIDを非表示/違反報告)
見守るセミ - んぬムゥ尊い。マジで尊い。あどうもセミです。おがっちゃんもいいしすぎもっちゃんでもいいどちらを取っても幸せです。ワシはおがっちゃんも好きなんですが、すぎもっちゃんが最推しです。あぁ〜でも、月島さんも捨てがたい、、、 (3月27日 16時) (レス) @page31 id: d5e2d1caf3 (このIDを非表示/違反報告)
おほしさま - エクスタシーさん» うわぁーーーー！！！！！！ほんとだぁーーー！！！！！うわ、マジでごめんなさい。今まで全く気が付かなかった…。ご指摘下さり誠にありがとうございます！！！大感謝です！！ｕ ′̥̥̥ ⌑ ‵̥̥̥ ｕ (3月26日 20時) (レス) id: 14120fce3f (このIDを非表示/違反報告)
エクスタシー - 杉本× 杉元○ (3月25日 22時) (レス) @page31 id: 9a0b80f385 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おほしさま | 作成日時：2024年3月7日 2時
