誰の行方ゴールデンカムイ夢小説 (ページ3)

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その内、母は亡くなった。

恋焦がれていた、いや、依存していた父が自身の元を離れて行ってしまったことで、その心は壊れてしまった。自害したのだ。

私が十一の時の事だった。

その内、父は狂っていった。

元々狂ってはいたものの、父の言うあの方に何を言われたのか、私をさらに痛めつけるようになった。

きっと父も、心が壊れてしまっていたのだろう。

その内、私は強くなった。

父よりもそこらの屈強な大人たちよりも。

それでも、全く嬉しくは無かった。強くなることは嫌では無い。

けれど

「あの方の操り人形である父の言いなりになって育っている私は、一体何なのだろう」

と私をそうした父と、その通りに育ってしまった自身への怒りが、腹の底にふつふつと溜まっていった。

ある日、パタリと父が家に帰らなくなった。

私は喜んだ。

やっと解放されたのだと。
やっと自由になれたのだと。

それも初めだけだった。
一人きりになった家の中に残るのは、孤独と、怒りと、恨み。

そして腹の中に粘つくものが溜まっている感覚だけだった。