私と、婚約破棄してください。【御影玲王】

婚約破棄 36日目。 ページ38

Aside



「せっかくの機会だ、話し合おう。このまま。

もっと俺に言いたいことあるんじゃないのか？」




『…いいの？』




「もちろん。
じゃあAは先攻、俺が後攻な。」


分かった、と私は頷く。

下手な遠慮はするなよ、と玲王から念押される。






それなら、私がずっと耐え続けたことを言ってみようか。

婚約破棄を考えた、玲王の行動について。





『…婚約破棄前、いつも私から玲王に話しかけてたでしょ？

玲王から声かけてくれたこと、滅多に無かった。』





「ああ、あの時は…かっこ悪いけど、緊張してた。

それに気づかれたくなくて、話しかけられなかった。ごめんな。」




『…じゃあ、私とのパーティーの同伴、毎回嫌々だったのは？』




「あー、えーとそれは…。


A、気付いてないかもしれないけど、他の男から超人気なんだよ。


だから俺の婚約者なのに、Aを見る男だってパートナーいるのに、Aに惚れてるの気に食わなくて。



パーティーの度憂鬱だった。イライラするから。
でもAには言いたくなくて、早く帰ろうっていう提案しか出来なかった。」





それは、嫉妬ということでいいのだろうか？
と、期待してしまう。





『…パーティーで、他の女の子の誘い断らずについて行くのは？』




「……今まで言ってなかったけど、
"Aに危害を加えてほしくなければ来て"みたいな脅迫まがいが多かったんだ。

あとはAに手を出しそうな奴には俺から先回りしたり。





……まあ全員社会的立場、落としてやったけど。」






『…え、知らなかった。


てか、全部初耳だよ。全部私のためだったんじゃない。』





『ごめんな。隠しといた方が良かったことの方が多かったから。』




玲王の方が素晴らしく隠すのが上手いじゃないか。

私に対する悪意も敵意も嫉妬も、玲王が回避のために動いてくれていたなんて。






「…あとはどう？」







＿＿正直、凪に言ってたあの(・・)言葉は真実か聞きたい。

でも、聞く勇気はない。






『…もう大丈夫、ありがとう。

玲王いいよ。』




怖いから、いいんだ。







「…ほんとに？」





『うん』






「ふーん…。






嘘、下手だな。」





『…え、』





「まだあるんだろ？」






お見通しらしい。
ここは素直に、勇気が出ないことを言うしかない。







『…うん。


でもいいの、答えを聞く勇気、ないから。』






「…そっか。


じゃあ、俺のターンでいいか？｣






『うん。』









玲王から何を聞かれるのか、全く予想ができなかった。




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