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彼女と鏡の話−4 ページ31

私が自分の日常に異変を感じたのは、洗面所で手を洗っている時だった

「っ!」

視界の上端に映る鏡の中

それはいた

昨日見た女子生徒
暗い光を宿す目と引きつったような笑みが印象的な少女だ

あの時と同じように少女に見つめられ、硬直してしまう

冬には痛いとさえ思う水道水が両手に流れ落ちているが、
そんな事すら気が回らないくらいに恐怖に支配される

視線を鏡の中の少女に向けないようにするのが精一杯だった



その時、

「優希!」

自分を呼ぶ声が聞こえた

聞き馴染んだ声に安堵を覚えるとともに硬直が解ける

いつの間にか鏡の中の少女は消えていた


「大丈夫?あなた、いつになくボーっとしてたけど」

そう言って、私の顔を覗き込んだのは結衣だった

「結衣ーっ!!」

私は安堵のあまり、濡れた手をそのままに結衣に抱きついた

「ちょっ、セーラー服が濡れるんだけどっ」
「ご、ごめん
 安心しすぎて、つい…
 ホント、結衣のおかげで助かったよぉ」

私が結衣から離れながら言った事に彼女は眉をひそめる

「何かあったの?
 私には優希が水に手を突っ込んだまま固まっているようにしか見えなかったけど」
「実はね…」

私は先ほど見た事を説明する

すると結衣は表情をもっと険しくする

「鏡に映っていたのよね?その子は…
 でも、私が見た限り洗面所にはあなたしかいなかった...」
「やっぱり、私しかいなかったんだ…
 ど、どうしようっ」

不安そうな私の顔を見た結衣はしばらく思案げに下方を見た

「私が来たら、その子は消えたのよね?」
「うん、そうだよ」
「じゃぁ、しばらくの間、私と一緒に行動するっていうのはどう?
 それで様子見をしてみるの」

おぉ!それは名案かもっ
そう思い、私は彼女の提案に賛成の意を示した

「しかしまぁ、これは初めてオカルトと出逢えるチャンスかもしれないわ」
「あれ?なぜか、結衣の瞳が輝いているっ!?
 うぅ、他人事だと思って楽しんでいるんじゃぁ…」

結衣がオカルトマニアだという事を失念してたよ…
大丈夫かなぁ…勝手に暴走したりしないといいけど



私はこの選択が"物語"を
あんな結末にしてしまうなんて
夢にも思ってなかったんだ______

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設定タグ:黒猫 , オリジナル , ホラー   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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寒極氷化(プロフ) - とらさん» いやぁ、CMみたいな猫だったら私は嬉しいですけどねww それに、ガン付けている黒猫も可愛い!!!! (2014年6月10日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - それでも黒猫のよく顔を見た人によれば「ガン付けてる」とのこと、確かにシャムとかよりもきつく見える、CMみたいな「鯛食べたい」との要求はないが(笑) (2014年6月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - とらさん» それはすごく羨ましいしですね! 私なんか、何回逃げられたことか…(T_T) (2014年6月9日 18時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - 確かに黒猫の不吉な噂は聞きますが自分にしてはその辺にいるただの猫ですね、黒猫に何回絡まれてきたのやら (2014年6月7日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - アリスさん» ホントですかっ 自分ではどうもそう思えないので、そう言ってもらえるのは嬉しいです (2014年6月2日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極 氷化 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kangoku/  
作成日時:2013年11月10日 0時

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