【HQ】月島くんと日向さん

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　部活中にも関わらず、ガミガミと五月蝿く喧嘩し合う単細胞が怒られているのを見た。
　こっちが見てて暑苦しいからホント辞めて欲しい。


「あっそうだ影山！お前のクラスに日向さんっている？」
「はぁ？いねぇよ」


　休憩中、山口と話しているとそんな二人の会話が聞こえた。その日向の質問に違和感と疑問を覚えて、聞き耳を立てる。
　黙り込んだ僕を見て山口は首を傾げて「どうしたのツッキー」と不思議そうに目を見た。

「……なんでもない」


「でもおれ、今日廊下に日向プリント落ちてたよって言われたんだけどおれのじゃなかったんだよ！完全に字が女子だった！」
「クラスとか書いてあるだろ」
「それが苗字しか書かれてなくて困ってんだよな〜」
「……ねぇ」



　プリントをどうするか迷ってる日向に、もう一切興味無いらしい王様。突然声を掛けた僕に驚く山口を無視して、視線を下に向けた。
　「な、なんだよっ」と戸惑うこいつに面倒臭さを感じつつ、仕方ないと諦める。

　しかしキャプテンの声で休憩が終了し、また練習が始まった。一言あとで、と話は後にした。



　部活動時間が終わって、僕は再度日向の方へ向かった。それに気づいた日向は若干ビビっていたけど気にしない。


「さっきのプリントの話なんだけど、なんのプリントなの？」
「月島知ってんのか！？」
「なんのプリント？」
「ぶ、物理基礎のプリント……」


　隣の席でプリントなくしたと話していたのは物理基礎の授業後の話だったはず。というか苗字の時点でほぼ確定か。


「ソレ、僕のクラスのコのプリントだから」
「本当か！？じゃあ明日返してくる！」


　……僕が返しておく。
　その言葉は見事にこいつに消された。ぱっと明るい笑顔にじとりと眼鏡の奥から睨む。

「僕が返しておくから」
「ひ、日向仲間としておれが返しておくっ」

　深く溜息を吐く。日向がプリントを持っている訳で僕がそれを奪うことは出来ないから、引き下がることしか出来ない。
　隣の席の人がテンションの高い日向と意気投合して楽しそうに話すか、ただ戸惑うかどちらの未来も想像容易いと思う。

　……まあ、いいか。少し会わせたくないと思った心情は知らないふりをしておくことにする。


　そういえば、大事なことを忠告するのを忘れていた。チョット、と小さい背中に声を掛ければ肩を大きく揺らしてゆっくり振り向く。









「『ひなた』じゃなくて『ひゅうが』、ね」

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