3 帰り ページ3
.
青みがかった赤い空と、ぼやけた雲を視界に入れて、昇降口を出た。
駆け足で駐輪場に向かうと、ほとんどの自転車が残っていて、なんだかみんな部活頑張ってるなあと他人事で思う。
たくさんの並んでる自転車の中から自分のを引き出して、正門の方向へ持っていく。涼しい風が頬にあたって少しずつ冷やしていった。
自転車に乗って、正門をくぐろうとすると前に知ってる頭が見えた。ヘッドホンして、こちらには気付いていない様子だ。
山口くんいないな〜って思いながら自転車を降りて押しながらそっと近付く。
「やっほ」
「……」
一言目で気が付いたのか、上を見上げると目が合った。彼は面倒さそうな顔をして、ヘッドホンを外す。
「なんで帰宅部さんはこんなトコにいるわけ」
「委員会がちょっとあって色々手伝ってた」
「ふーん」
部活の入っていない私は、勉学以外励むものも特になく委員会で一学年のリーダー的なやつに立候補した。単純に皆やりたくなさそうだし、私暇だしっていう理由で。
それを友達に言ったらお人好しだなと苦笑いされたけど人の役に立つことは好きだから、でしょって同意するように返した。
「わざわざ自転車降りてまで話しかけてきた理由は？」
このメガネくんは質問しかしないなあ、と理屈でしか通じないのかそう考えて、質問にわざとらしくうーん、と悩む。
といっても。悩む理由もなく結論も出ない。
「友達に話しかけるのに理由がいるんですかー」
「友達？僕とキミが？」
適当に返した返事に心底分からないという顔をする月島くん。
うっざあ〜〜〜！友達に定義なんてないでしょーが！
いちいち人を馬鹿にする言葉ばかり選ぶやつだ。こんなのに突っかかってもキリがない。そう経験が語る。
「そういえば山口くんは？」
露骨に話題変えた、とこちらを見るけど、そっちだって露骨に顔に出すぎじゃん。
疲れてるのか分かんないけど、いつもの澄ました顔はあまりない。
「日向さん、朝のHR寝てて怒られてたもんね。そりゃあ知らないか〜」
なに、と短く言うとなにも？と返される。
「山口今日体調悪くて休み」
「あっそうなんだ……早く元気になってね〜って伝えといてよ」
「自分で伝えればいいじゃん」
「いや、私連絡先知らないし。てか、クラスの男子全員」
「へ〜意外」
それはどういう意味の意外なんだろうか？考えてみたけど結局わからず。
月島くんと話してると分かんない事だらけだな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 479人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
辛 - 日本語化ちょいちょい変。てにをはもおかしい。無理に難しい言い回しわ使わない方がいいと思う。 (9月11日 12時) (
レス) @page26 id: 5015934a65 (このIDを非表示/違反報告)
む - めちゃくちゃ良かったです。他の作者様だと冷たかったり口が悪い月島が多いですが、このお話の月島は冷た過ぎず、他人に干渉し過ぎず距離感がちょうど良かったです。とても上手に表現していると思います。告白も月島からなのが良かったです。 (2021年4月18日 4時) (レス) id: be1d7978bd (このIDを非表示/違反報告)
KOMORE(プロフ) - むさん» 本当に長らくお待たせしました……！皆の感情にどう現実味を出すかたくさん考えていたのでそうやって受け取って貰い感無量です。全文私にとって嬉しく糧になるお言葉です。読んで下さり本当にありがとうございました！ (2021年2月10日 10時) (レス) id: d075f9ab0b (このIDを非表示/違反報告)
む - 更新楽しみにしていました！ 皆の心の動きがとてもリアルで、ツッキーはこんな子とこういう恋愛をするのだろうな、と胸にストンと落ちました。等身大の高校生なこの作品がとても好きです。 完結おめでとうございます！ (2021年2月9日 2時) (レス) id: 727df39cb7 (このIDを非表示/違反報告)
KOMORE(プロフ) - なづなさん» コメントありがとうございます！テーマとしている高校生感を感じ取って下さりとても嬉しいです……！ゆっくりですが完結までついてきて頂けると有難いです。応援ありがとうございます！ (2020年5月11日 21時) (レス) id: d075f9ab0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：KOMORE | 作成日時：2020年1月14日 22時
