失われた愛に滴る青い涙8 (ページ18)

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第358話ページ18

貴方side

貴「何……………………このかっこいい写真…

聞いてないんだけどサソリ様……」

そこにはかっこよく武勇伝が書かれてるし

砂の忍時代の写真、暁のメンバーとしての写真…

どれも勝手に撮られたんだろうけど

すごい…かっこいい………

貴「そうだよね……。

こんな自分、あの人なら照れて見せてくれないよね…」

っ…………しまった……

つい気が緩んで……………

サ「んぉ？」

ポタ、ポタ、と本を濡らす雫にサソリが振り返る…

貴「ﾊﾊ………。ごめんねーサソリ…。」

袖で本の雫を抑えると

濡れた頬がサソリの頬に触れてしまった…

サ「？」

心配そうにじっと見つめるサソリに

貴「サソリ。この人、すごいよね。

『恐らく二代目操演者は現れない。

彼のしかできない彼だけの操演』

だって。この忍世界でこの赤秘技を使えるのは

この人だけなんだってさ」

サ「………」

まじまじと本を見つめるサソリの頬を

人差し指で優しく撫でる

貴「この人はね。赤砂のサソリ。

あなたの…………お父さん。」

サ「……」

ずっと父親から目を離さないサソリを

後ろから優しく抱きしめ一緒にもう亡き大きな存在を見つめる

貴「かっこいいでしょ？

サソリのお父さんでお母さんの旦那さん。

ぶっきらぼうで重症なくらいのツンデレで

気が短くてせっかちで、冷たいの……

でもね……。本当は、

暖かくて、優しくて、強くて

愛情深くて、誰よりも孤独を知ってて人の痛みを理解してる…

だからこそ出ちゃう冷たさで

壁を作って人を避けちゃうの…

でもその冷たい仮面を剥がせばあの人だって

暖かいひとりの人間。

ただ人の温もりが欲しかっただけ…」

サ「……」

貴「ようするに、

サソリのお父さんはすごく強くて

すごくかっこいいってこーと」

サ「あぃ！」

ニッコリと笑みを浮かべるサソリを

もう一度優しく抱きしめる

もう会えないことはまだ黙っておこう……

今はこの笑顔をにふれていたいから…………