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第1話 ページ2

「そういうんじゃ···!」
「あああああああ!!!!」


あぁ、またこの夢か。
大声が聞こえてきて、瞼を開ける。
視界には、昔住んでいたマンションの天井が広がる。
そしてすぐに、兄ちゃんの大声が聞こえてくるんだ。


「アイ!!!」


ほら。
いつもと何も変わらない同じ夢。
物心着いた時からずっとこの夢を見る。
この夢を見ない日はない。


「ねぇ、どうしたの···?」
「そっちで何が起きてるの···?」


姉ちゃんに手を引かれながら、玄関に繋がる扉の前まで歩く。
これもいつもの夢と同じ。


「来るなルビー、トワ···」
「ねえってば!」


僕は何も言わない。
まだ、話せる歳じゃなかったから。


ママの声が聞こえてくる。


「私さ、ルビーももしかしたらこの先、アイドルになるのかもって思ってて」
「いつかなんか上手く行ったら、親子共演みたいなさ、楽しそうだよね」
「アクアは役者さん?」
「トワはモデルかなぁ?」
「3人はどんな大人になるのかな」


ママの声がどんどん聞こえなくなってくる。


「3人が大人になってくの側で見てたい」
「あんまり良いお母さんじゃなかったけど、私は産んで良かったなって思ってて」


いかないでママ。お願い。
夢なんだからパッピーエンドで終わってよ。


「あ······これは言わなきゃ」



「ルビー、トワ、アクア、愛してる」



息が詰まるような感覚が全身に伝わる。


「ああ、やっと言えた」
「ごめんね、言うのこんなに遅くなって」
「あー、良かったぁ」
「この言葉は絶対嘘じゃない」


ママの声が、息が、何も聞こえない。
···また、ママが死んじゃった。




『···朝か』


カーテンの間から射し込む太陽の光が眩しい。
アラームなんてかけなくても、毎日この夢を見て泣きながら起きてしまう。
この世で毎日泣きながら起きてるのなんて、僕ぐらいだろう。


『ママ···』
『会いたい···な···』


今日もまた、つまらない1日が始まる。

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名無し81795号(プロフ) - 黒子も推しの子も好きなのでめちゃくちゃ面白いです‼️ (1月10日 12時) (レス) id: ee075f74a4 (このIDを非表示/違反報告)
結葉(プロフ) - 好き!!!!続きを待ってます!!!!! (1月7日 13時) (レス) @page44 id: 9c60d68ce5 (このIDを非表示/違反報告)
アムス - 遂に、推しの子と黒バスがクロスオーバー°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°楽しみにしています!! (6月26日 21時) (レス) @page2 id: 9e21e9a7d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うよ | 作成日時:2023年6月26日 19時

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