【銀/魂】戦場を嫌う黒い鬼 弐【坂/田/銀/時】

チョコレートが六十八個 ページ25

山崎side


カチッカチッという秒針が進む音だけが、薄暗く狭い部屋に響く。今は今回の監察の報告書を仕上げている途中なのだが、俺の手はある一点から全く進んでいなかった。

──『副長から命令されていた別の件ですが』

この続きの文が思いつかない。


「はぁ……全然ダメだなぁ」


一旦筆を置き、後ろに倒れ込む。天井をじぃっと見つめるが、副長の件とAちゃんの言葉が脳内に焼き付き離れない。

副長から命令されていた件とは、監察対象:素鼠百鬼の他に、Aちゃんの監視だった。

彼女が攘夷浪士と関わりを持っていないか調査する必要があったらしいのだ。

その結果、彼女は真っ黒というわけではなかったが、真っ白というわけでもなかった。それこそ、帰り道で彼女が言った『素鼠色』だろう。


でも……とポツリと呟き起き上がる。


「何で俺にあんなこと、言ったんだろう……」


起き上がったのはいいものの、やはり文章が思い付かず、筆はとらずに頬杖をつく。

雑談しながらの帰り道に、ふと彼女が言った意味について考える。


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『あ、ねぇ山崎、突然なんだけどさ……何で素鼠百鬼っていうと思う？』

『えっ？ うーん、そうだね……。鼠みたいにチョロチョロしていたから……とか？』

『あー、一理あるかもね。本当はさ──』


一度もこちらを見ずに、真っ直ぐ前を向いたまま話す彼女に疑問を覚える。しかし、そんな俺には気にかけずに彼女は続けた。


『本当は……あ、その前に、山崎は素鼠色(・・・)って知ってる？』

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ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー食べ物……かもしれない！

誰かのもんじゃ

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