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「妾に知力戦で勝とうだなんて、可愛い子ね。1000年蓄えたんだもの。頭脳で負けたら長命者の恥よ」
「なんて良い天気なの……恐ろしい」
「眠りの世界へ誘われた生徒がいるわね。丁度良いわ、ホロスコープを出して。彼の出生場所・出生時刻・生年月日を使って宿命占星術をしましょう。健康、財産、結婚、寿命……それらと彼はどのような運命で結ばれているのか、占うこと。これが今日の課題。レクティファイを忘れないように」
「貴方、占術だけでなく天文学も取るべきよ。きっとあの世界を気に入るわ」
「妾の道を不用意に塞がないで。蹴り飛ばされたいかしら」
「蒼梟寮の生徒でしょう、なら胸を張って。この妾が付いているのだから」
「……貴方、飛行術が苦手なのね。吊るされた男のようだわ」
「妾を軽んじるのも、侮辱するのも、好きにするといいわ。偉大さを知り得ない愚者であるという証明に他ならないもの。」
「そうね、貴方の占術の成績は芳しくない。けれど真面目に取り組んでいるのもまた事実よ。大丈夫、分かるようになるまで付き合うから。妾は勤勉な者は見捨てないわ」
「努力した者は等しく報われる世界であって欲しいのよ。せめて、此処に居る間だけでも」
「そう……この間学院に来たと思ったら、もう6年生なのね。時間感覚が日々曖昧になっていくわ…顔をよく見せて。本当に、大きくなったわね」
「大丈夫よ、妾は何処にも行かないから。ゆっくり息をして、そう、上手。」
「人間は残酷で悲しい生き物であるから、時として貴方を裏切るけれど 知識と頭脳はそんな事しないわ。どんなに素晴らしいものでも、使い方が分からなければ意味が無いでしょう？いま貴方が交流を深め、愛すべきは知識よ。あればあるほど貴方の選択と言葉が増える。迫る危機からの回避も叶いましょう」
「裏切られる前に、卑劣な手を使われる前に 最悪に備え全ての策を潰すの。賢者とはかくあるべきよ」
「趣味らしい趣味は無いわ。つまらない魔女でごめんなさいね。…ああ、強いて言えば1つ。文献や小説の丸暗記。記憶しないとむず痒くなる質なのよ」
「何故変成術を使っているのか？そんなの、不特定多数に見下ろされるのが不愉快だからよ。あまり小さな姿だと威厳も示せないし……幼子のように扱われるのは御免だわ」
「貴方。そう そこの貴方 毎晩同じ、それも悪い夢を見ているわね。良くない暗示よ、即刻断ち切りなさい。今夜はこの香を焚いて眠って」
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作者名：やまざき | 作成日時：2020年6月29日 23時
