「…恋の始め方」 (ページ45)

今日:38 hit、昨日:80 hit、合計:207,878 hit

☆ ページ45

.

店を出るとさっき煽ったカクテルのアルコールの度数が高かったのかくらっと来た

終電も終わり帰るにはタクシーの他ない

ふらつく足でタクシー乗り場へと歩く

なにしてんだろう
心の中ではまだ北斗を忘れられていないのに
突き放したって自分が辛いのに

結局なにも聞かずに強引に自分で終止符打ってしまった

ここ最近あんまりタバコ吸ってなかったからかな
タマ美実家に預けてひとりぼっちだったからかな
残業続きが原因かな

自分を保つためのルーティンなんてそんなもんだって
普通の日常を過ごすことが自分を守る唯一の術だと思っていた

雪の中走ったりするからだ

タクシー乗り場に着いてもこの時間でクリスマスだからかタクシーがいない

あぁ
このまま雪と一緒にどこかへ飛んでいきたい

そしたら北斗の事忘れられるのに

すごく嫌なのにすごく会いたい

短く携帯が鳴る

樹:まだ会社？

ううん。と返す
続けて今どこ？と返信が来る
会社の最寄り駅とだけ返すと近くのベンチへ腰掛けた

しばらくすると樹からの電話

　「なに？」
樹「迎え来た。タクシー乗り場で待ってるから早くおいで」

迎え来てほしいなんて言ってないのに
なんで樹にはわかるかなぁ

ありがとうと返して電話を切る

トボトボとタクシー乗り場へ歩くと樹が車から降りてきた

樹「Aこんな時間までここでなにしてたんだよ。。って酒臭っ」
　「一杯しか飲んでないよ」
樹「そういうことじゃねーだろ。まぁいいや、車乗って。」

スマートに助手席のドアを開けてくれる