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Deuce side
妹を、目の前で、殺された……？
それも母さんと父さんに、だなんて酷いことをAがされているとは思いたくなかった。
何時も無表情で、感情を表に出すことなんて少なくて、冷たい雰囲気をしてるアイツだけど、きっと本当は優しい奴だってことはすぐに分かる。
ミドルスクールの頃に悪い奴らとつるんでた僕だから、かもしれないけど兎に角、Aは良い奴なんだ。
本当だったらドワーフ鉱山の時もついて来なくてよかったんだし、あんだけ動けるなら、僕達を無理矢理振り払って逃げることだって出来た筈なんだよ。
けど、それをやらなかったのはAが優しいこと他ならないだろ？
｢ケイトはミュートにしたようだね｣
｢これ以上は聞けないし、聞かせられないということか……｣
寮長とクローバー先輩が言った通り、ダイヤモンド先輩がミュートにしたから二人の会話を盗み聞きすることが出来なくなった。
……駄目だ、気になる、途轍もなく気になる。
聞きたいけど、Aはきっと無理矢理聞こうとしたら全力で薙ぎ払うタイプだ。
｢聞けねぇ……｣
｢だろうね。デュースの言う通り、強引に聞こうとした瞬間、ボクらは彼女に敵認定されると思うよ｣
どうやら寮長と同じ考えだったらしい。
何だかちょっと嬉しいな……優等生に近付いているのかもしれないな！
＊＊＊
｢まあ私の家庭環境は放置しておいて、危険性の話です。オーバーブロットに関して私が負けることはない、と分かっているからこそ危険性が少ないのですよ｣
所変わって植物園。
嫌悪して、憎んでいると言っても過言ではない家族の話を僅かに話したAは、唐突に話をオーバーブロットへと切り替えた。
物凄く気になることをポロリと零したくせに、呆気なく話を変えられてケイトは困惑気味である。
彼が混乱していることなど気にも留めずに、Aはマイペースに話しを進めていた。
｢私が刀を扱っていたのは覚えておられますでしょうか｣
｢カタナ……？ 剣みたいなやつ？｣
｢そうです ――顕現せよ、痣丸｣
膝の上に両手を置き、その言葉を彼女が紡ぐと、蜂蜜色の光の粒子が彼女の手に集まって長い棒形成していく。
現れたのは真っ黒な鞘の脇差。
突如として現れた刀に、ケイトは再びぎょっとして体を仰け反らせた。
Aによって痣丸は鞘から抜かれ、日光によってその刀身を煌めかせている。
｢痣丸は破邪の刀です｣
それは、痣丸の逸話であった。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
