深紅を斬り裂く ページ45
「――A!?」
「馬鹿! 前に出たら危ない!」
エースとデュースの言葉を無視して前に飛び出すと、吹き飛ばされそうになっているグリムを抱き締めてその場に手をついた。
そして現れたのは薄い蜂蜜色の透明な壁。
霊力を取り戻したAによって張られた、絶対防御を誇る結界である。
だがしかし、薔薇の木が結界にぶつかると思ったその瞬間、それらは全てぺらぺらのトランプへと姿を変えた。
「リドル、もうやめろ!」
「トレイの『ドゥードゥル・スート』!? えっ……どういうこと?」
「言っただろ。俺の『ドゥードゥル・スート』は少しの間だけならどんな要素も上書きすることが出来る。……だから、"リドルの魔法"を"俺の魔法"で上書きした!」
「うっそ………。そんなんあり!? チートじゃん!」
どれだけリドルが"首をはねよう"としても、その魔法は全てトランプへと変換されている。
魔法が使用出来ないことに苛立つ彼は、今まで抱えていた不満をひたすら口にしていた。
この世界に来たばかりのAに魔法の詳細など分からないが、何故だか嫌な予感をずっと感じている。
リドルの胸元が黒く染っているように見えるのだ。
時間が経過した血でもない、汚れでもない、勿論元々のデザインなわけでもない。
「いけませんローズハートくん! それ以上魔法を使えば、魔法石が"ブロット"に染まりきってしまう!」
「ボクは……ボクこそが!!! 絶対、絶対、正しいんだーーーー!!!」
「リドルー!!!!」
暴風と共に、リドルの姿が変わった。
黒い液体が体中に絡みついており、服装も寮服から見慣れない赤と白のドレスになっている。
綺麗な筈の薔薇の装飾も、黒色に染ってしまっていて物哀しかった。
"ブロット"
まだ魔法についての全容を把握していないが、きっとクロウリーの言ったブロットというモノがリドルを変化させてしまったのであろう。
座り込んでしまっている生徒達を叱咤し、出来るだけ遠くに避難させながら彼らの会話を聞いていれば、リドルの今の状態が理解出来た。
負のエネルギーに囚われて感情と魔力のコントロールを失っている状態、ケイトに言わせるならば、闇落ちバーサーカー状態。
下手をすれば、リドルの命も危うくなってくる。
それならば躊躇う時間など勿体ないし、その必要すら皆無だ。
エースとデュース、グリムの三人がリドルに魔法を使用し始めたのに便乗して、Aも霊力を彼女特製の糸に纏わせて駆け出した。
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にゃーちゃん - とても面白いです!これからも頑張ってください! (2021年5月16日 20時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです!面白いです!! (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです!マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください!! (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆるり | 作成日時:2020年4月2日 1時