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「取り敢えず、私はスカートを注文しに行きますのでこれにて」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「またねぇ、クリオネちゃん♡」
ひらひらと手を振るフロイドと、優しい笑顔を浮かべたジェイドに再び一礼し、Aは踵を返して購買へと移動を始めた。
遠く離れていく彼女の背中を、何故かフロイドは楽しそうに見詰めている。
そのすぐ後に、自分の左手の人差し指と中指をじぃっと見遣り、そしてぺろりと舐め上げた。
「ん〜、あまぁい♡」
「おや、それは?」
「クリオネちゃんの血。さっきスカート捲った時に取っといたんだよねぇ」
唾液で濡れた彼の指には、ほんの少しだけ残った彼女の血が付着している。
「ふふ……癖になりそぉ」
***
双子がこんなことをしているとは知らずに、Aは購買への道を急いで歩いていた。
何故エース達から探されているのかは知らないが、何か面倒事に巻き込まれるのは御免だ。
さっさと注文して、とっとと帰ろうとしていたのだが、Aは背中に軽い衝撃を感じて嫌な予感を湧き上がらせる。
「見つけたんだゾ! エース、ユウ! こっちだゾ!」
なんと背中にグリムが張り付いているではないか。
近くにユウとエースも居るらしく、この状況から逃走するのは困難だろう。
その十数秒後、あの三人がこの場にやって来た。
「頼む! この通り!」
「……何故に私が」
「お前、賢いだろ? 何か良いアイデアを考えついてくれそうだなって思ってさ」
彼らの頼みとは、ドワーフ鉱山に魔法石を採掘しに行くのに同行して欲しいということであった。
同じクラスでもなく、ユウのように親しい仲であるわけでもないのに何故なのか。
それは上記の通り、大食堂で彼女がとった咄嗟の判断を評価したからであるらしい。
「僕からもお願いしてもいいかな?」
「……ユウさんもですか」
四方から懇願され、Aは遂に首を縦に振った。
ここで何分も拘束されるのならば、早々にドワーフ鉱山へと向かって目的を果たし、帰ってきた方が楽だと感じからである。
ぱあっと瞳を輝かせ、顔を明るくさせたユウとエースに手を引かれてAは鏡の間へと向かうこととなった。
肩に乗っているグリムの耳と髭が頬にあたり、擽ったさを感じて、思わずAは彼の喉に手をやってうりうりと動かす。
「く、擽ったいん……ごろごろごろ……ふなー! オレ様はペットじゃないんだゾ!」
鏡の間までの行き道は基本的に穏やかではあった。
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にゃーちゃん - とても面白いです!これからも頑張ってください! (2021年5月16日 20時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです!面白いです!! (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです!マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください!! (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆるり | 作成日時:2020年4月2日 1時