【歌い手】私の全てを受け入れて。ver.B【大型コラボ】 (ページ17)

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【志麻】お前の1番/すめらぎしきページ17

「は、っは、」

夜の街にわたしのコツコツというヒールの音が響く。時間も時間なのでわたし以外に人はいない。

やばいやばい、なんで今日に限ってヒールで出たんだろう。どうしてもっと早く居酒屋を出なかったんだろう。新しく買ったからってワンピースなんて着るんじゃなかった。そもそと飲みなんて断るべきだった、胃の中のもの全部でそう。ああもう、走りにくい。

急がないと、早く家に帰らないと。よし、あと少し。マンションは目の前。あとは階段を登ってドアを開けるだけ。二分もかからない。がんばれわたし。

現在の時刻は23:58。よし、いける。滑り込みセーフ行けるぞ。駅からダッシュしたせいでガクガクの脚にムチを打って階段を登って廊下を走る。

鍵、鍵どこ？！急いでいる時に限って絶対出てこない銀色のアイツ。キーケース買った方がいいのかな…

どうにかカバンの奥から見つけて鍵穴にさして右にひねりつつドアを引く。お願い、まだ日付が変わってませんように。

あ、彼がいない。よかった過ぎてなかったんだ。ほっと一息はいて、ドアの鍵を閉めようとしたのだけど。

「はぁい、ザンネン。7秒過ぎてるで。」

後ろから腕がまわってきてそのまま抱きしめられて、やけに楽しそうな声が耳元で聞こえる。彼の香水の匂いが近い。体の芯が冷えきったような感じがした。

「…なぁ、Aチャンはなんで彼氏との約束も守られんの？」