【歌い手】私の全てを受け入れて。ver.B【大型コラボ】 (ページ11)

今日:31 hit、昨日:0 hit、合計:58,048 hit

＊ページ11

「凄い量になっちゃったね」

「ええやん。お揃いも増えたし」

後部座席に積まれた今日の戦利品達。
何でもお揃いにする程には、初めての同棲にお互い浮かれているらしい。
運転席に座ると、助手席に座ったAちゃんから帰り道用に買ったコーヒーが差し出された。

「家の物だけのつもりだったのに服まで買って貰っちゃってごめんね。ありがとう」

「俺が着て欲しかったから買っただけやで」

来月始まる同棲の前に、婚約もした俺達は両親の顔合わせの予定がある。
ふらっと立ち寄ったショップで似合いそうな服を見つけて合わせて見ると可愛かったからその時に来て欲しいなと迷うこと無くそのままカードを切った。
特別な日の為の服だから、いつもの服よりは少々値段は張った。
それを気にしてるんやと思う。

無邪気に着こなせるようにダイエットしよー、とはしゃぐ助手席の彼女を見てステアリングを握って駐車場を出た。

(俺の下心なんて知らずに可愛いな)

駐車場を出てすぐ、赤信号で車を停車させる。
隣を見ると服のショップ袋を膝に置いて眺めている。

「なぁ、信号赤やで」

「え？あ、、、」

ん、と助手席に手を掛けて顔を近付けると後ろを振り返ってから唇が一瞬重なった。

「はやっ」

「、、、後ろに人いるもん」

「暗いし顔なんか見えへんて」

赤信号になったらキスすること。
これも付き合ってドライブデートをした時に俺が決めた事。
後ろに人がいると恥ずかしがるAちゃんだけど、どちらにせよ俺には得しかない。

付き合ってから、2人でと言うよりは俺が決めた約束事は他にもある。
心配だから遅くに帰らない、帰る時には連絡を入れる。
お酒を飲んだ日は俺が迎えに行くまでは勝手に帰らない。
男と2人でご飯に行くなんて絶対にあかん(会社の飲み会は仕方ない、でも絶対に迎えに行く)

そうやって増えていった約束事にも異性と付き合うのが初めてだったせいか、俺の教育がいいのかAちゃんは疑うこと無くわかった！と素直に頷いてくれる。
こんなに素直で大丈夫なんやろか。
俺の彼女に対する黒い計算は出会った時から。
真っ黒な俺のお願いは、真っ白な綺麗な気持ちで頷くこの子に素直に受け入れて貰える。
最初は可愛いな、欲しいな、くらいの軽い気持ちだったのに付き合いが長くなるにつれ絶対に離したくないと思う程気持ちは強くなっていた。