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「これ、可愛すぎるかな?」

「ええんやない?気に入ったんやろ?」

買おうか、と持っていたカゴを持ち上げると頷いてそっと手にしていた物を2つ入れた。

あれから何年経ったっけ。
買い物をしているAちゃんの背中を見ながら初めて会った時の事を思い出していた。
付き合って数年。
知り合った時学生だった2人は、社会人になった。
順調にお付き合いを重ねて、お互い社会人として落ち着いてきたから婚約指輪を渡して、遂に来月から同棲を始める。
今日はその為の、デートも兼ねた買い物。

「センラ、どっちがいい?」

「えー、右かな?」

「じゃあこっちにするね」

俺の選んだ方をカゴに入れていく。
素直で可愛い。
インテリアショップの中を手を繋いで歩いていると、ふと目に入ったキッチン用品。

「あ!これ着てや、絶対似合うから」

「えぇっ、可愛い過ぎない?」

「買うなー?」

有無も言わさずカゴに包装されたエプロンを入れる俺にAちゃんは文句を言っていたものの着てくれる事を今までの経験上知ってる。
俺がするお願いを聞いてくれなかった事は無い。

「会計してくるわ」

「待って、私も行く」

「ええよ、買い忘れた物無いか店の中見といて」

「さっきも買って貰ったのに、、、?」

「これから2人で使うんやから気にせんでええって言うてるやろ」

昔の様に綺麗に染められた髪に手を置くと、「ありがとう」と小さく笑う。

待っててとレジに向かってカードを財布から取り出す。
本当はもっと早くに同棲も結婚もしたかったけど、ちゃんと養えるようになってからじゃないと苦労をさせてしまう。
というか、彼女にお金を出させるなんて俺のプライドが許さへん。
俺の方が先に社会人になって、持ち前の処世術は役に立ってようやく養うには困らない程の稼ぎと立場を会社で手に入れることが出来た。

幸いな事にお互い散財するタイプでは無いから新調した家具や食器も思っていたより安くついたなとサインをして大きなショップ袋を受け取る。

「お待たせ」

「重くない?大丈夫?」

「大丈夫。次行こ」

重くたって持たせるわけないのに。
心配そうに見上げる顔を、目がええよね。と昔と変わらない真っ直ぐ見つめてくる瞳を見て思う。
いつだって、この瞳には俺の事だけ映してて欲しい。

(他の男なんて見たら許さんからな)

あそこ見たいな、と歩き出した彼女に手を差し出すと当たり前に繋がれる手。
一緒に歩く時は手を繋ぐ。
付き合ってすぐ俺が決めた事。

*→←【センラ】真っ白な君を、俺色に染めたい/あーりん



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作者名:*作者一同* x他2人 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年8月18日 18時

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