【和泉守兼定+堀川国広】明るい声で、それを聞かせて ページ3
◆◆◆
立ち込める土煙。誰かの焦った怒鳴り声。
「堀川っ！」
己の名を読んだ声が昔馴染みの洒落好きな部隊長のものであると数秒遅れて気づいた時、 僕は初めて自分の身に迫る危機に気がついた。
迫りくる冷たく怒気を含んだ敵の影に、あぁ、もう……―――そんな考えが浮かぶ。けれど、ここで倒れて地面に身体を伏した時、残るのは最期まで続く後悔と敗北感だけだろう。だから、ここで倒れるわけには行かない。
「兼さんがああだから、僕は怒らないようにしたいんだけど……っ！」
この場にはいないあの人の名前を呼んで、自分を鼓舞するように声を上げる。
柄を握る痛みで震える手は、銀色の刃が相対する者の身体を貫き生を奪っていくのを見届けると、身体の他の部位と共に力を失って……――――
「まだだ」
その瞬間、聞き慣れた声と銀の刃が、僕の 背後からうち漏らしらしき短刀の身体を突き刺した。地に落ちいていく筈だった身体は声の持ち主に受け止められて、宙に浮いたような妙な感覚のまま静止する。
(困ったな、僕は兼さんの助手なのに、助けられちゃった)
霞む視界ではハッキリと顔が見えない。けれど、僕はその声が……銀の刃が、和泉守兼定のものであると、すぐに理解した。
ここには……いや、本丸にすら居ない筈の存在に不思議と驚きの感情は無く、ただただ、和泉守兼定がこの場に居る、という事実だけがストンと胸中に落ちてくる。
「やったよ……兼さん」
仕留め損ねた短刀のことを考えるなら、僕はそう言えるような立場じゃない。この和泉守兼定に、僕が言っていい言葉じゃない。
でも、もう会えないかもしれないから。 そんな思いでずっと兼さんが来るまでは、と封じ続けてきた言葉を発した。
「もっと騒がしかっただろうがよ、お前は。もっとマシな声で言いやがれ」
意識を失う寸前、胸を締め付けるような、どこか悲しそうな声がそう言った気がした。
◆◆◆
【和泉守兼定+堀川国広】明るい声で、それを聞かせて→←【和泉守兼定+堀川国広】明るい声で、それを聞かせて※pixivにも同じ作品をupしました
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ネフェルティティ(プロフ) - さくらもちさん» いえ、お役に立てて幸いです！ 頑張って下さいね！ (2018年5月13日 20時) (
レス) id: 7981efbc68 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち(プロフ) - ネフェルティティさん» 言葉不足と空白、どちらも恥ずかしながら自覚していなかったので的確にご指摘頂けてとても嬉しいです……！ 一度読み直してみようと思います、主催者さんのご存じないジャンルにも関わらず、嬉しいお言葉に的確で丁寧な評価、本当にありがとうございました(*´∀｀) (2018年5月13日 20時) (レス) id: f2c7d1badc (このIDを非表示/違反報告)
ネフェルティティ(プロフ) - 全てを総合し、評価は9とさせて頂きました！ これからも頑張って下さい！ (2018年5月13日 20時) (レス) id: 7981efbc68 (このIDを非表示/違反報告)
ネフェルティティ(プロフ) - そして、謎の空白も目立ち、読みにくいかなと思いました。 (2018年5月13日 20時) (レス) id: 7981efbc68 (このIDを非表示/違反報告)
ネフェルティティ(プロフ) - イベント参加ありがとうございます！！読ませて頂きました！ 一言で言うと、文才が素晴らしいです。しかし、稀に言葉が足りていないかなと感じる描写があります。 一度読み直してみては如何でしょうか。 (2018年5月13日 20時) (レス) id: 7981efbc68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくらもち@やや低浮上 | 作成日時：2018年4月10日 19時
