結びつく三角関係 ページ20
むう。と、迅は唸る。
迅は自分でも機嫌が悪いことがわかっていた。それを顔に出していることも知っているし、それを見た大人たちが苦笑いで迅を見ていることもわかっている。けれど、当の本人たちは迅の表情にも、周りを取り巻く何とも言えない空気にも気がついていない。完璧に二人の世界に入ってしまっている。迅はそれがまた気に入らなかった。
「ふふん、どう？ 似合う？！」
「とーってもよく似合っているよ。桐絵ちゃんは赤色がいちばん似合うからね」
「そうでしょ！ あたし、赤がいっちばん好きな色なの！」
「ああ、でも別の色ももちろん似合うよ。今度いろんな色の服を見に行こう」
「うん！」
部屋の中心で真っ赤なカーディガンを着て、自慢げにくるくる回る小南。その隣に膝立ちでにこにこ笑っているAがいる。Aは「かわいいなあ」とさっきから小南を褒めに褒めている。べた褒めである。
迅はまたむすっと膨れた。迅に青のジャケットをプレゼントしたAは、帰ってきてから「あだじも欲じい〜〜！！」と泣いて駄々を捏ねた小南の要望に、次の日に早速応えたのである。小南と一緒に買いに行ったわけではなさそうだが、大好きな赤色の、上質そうなカーディガンを贈られた小南はご満悦。昨日のブサイクな泣き顔はどこへやら、といった感じである。
迅としては、『自分だけ』という特別感がたった一日で失われてたいそう不満である。せっかくAが迅に似合うとして買ってくれたジャケットを着ているのも嫌になってきたくらいだ。それでも脱ごうとしないのは、迅のプライドと良心であった。
そんな迅の心情は周囲に筒抜けで、城戸も最上も忍田も林藤も、みな苦笑いをしている。そんなわけで、気づいていないのは当人らと言ったふうであった。
「Aさんっ」
「ん、なーに悠一君」
「ねーAさん買い物に行きましょ！ 今日の夕飯は本部で食べてく！」
「ええ？ 桐絵ちゃん、お父さんとお母さんに許可は取ったの？ 話はそれからだよ」
「Aさ」
「いつも『Aさんと一緒なら良い』って言われてるわ」
「小南さん……マッタク」
一度気づいてくれたのに、あとは悉く無視だ。いや、無視という言い方には語弊がある。正しくは
……………………イラッ。
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
