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迅の同級生らはよくゲームセンターに入り浸っているようだが(お金が全く足りないと嘆いていた)、迅はそういったよく行くような場所にはAといっしょには行きたくなかった。それはそれで楽しいのだろうが……。
決めた！ と迅が言うのと、Aがアクセルを踏むのは同時だった。Aは車を発進させてハンドルを切りつつ、「お？」と期待を声に表す。
迅はAに笑いかけながら「そこらへんで降りよう」と告げる。「歩いて行くの？」というAの訝しげな発言に、迅は自信たっぷりに答えた。「散歩しよう」。
「散歩？」
「そー。ぶらぶら歩いて、なんか気になったらそこに入ってみる。どう？」
「いいけど、悠一君遠慮してる？ 親元離れてない大学生なんてわりと金持ちなんだから遠慮はいらないよ」
「遠慮なんかしてないって。おれがAさんと歩きたいんだ」
「本当に？」
なおも眉根を寄せて迅に問うAに、迅は片眉を上げて答えた。
「……Aさんさ、四十分で映画とか観れるなんて思ってないよね？」
「……思わないな」
Aは心の底から得心し、大きく頷いた。
そして近くの駐車場に車を停めて、降りる。Aは財布と車のキーだけを引っ掴み、車に鍵をかけたあと、迅に「行こうか」と声をかけて歩き出す。その横顔は子どものような笑顔だった。迅もそれに続き、Aの横まで駆ける。
たったの四十分と言えど、迅にとっては貴重なAとのお出かけである。妙に頬が緩むのも、Aが優しく微笑んで見守ってくれるから仕方のないことのようにも思えてきた。
できるだけ長くこの時間が続きますように、とは願いつつ、そうもいかないことを歯がゆく思う。迅はそれを表に出さないようにして、ショーウィンドウを覗き込みつつ歩くAの隣についた。
「お。この色、悠一君に合いそう……」
唐突に、Aがそう呟く。釣られて迅がひょいと覗き込むと、そこには男物のジャケットがあった。言うや否や、その店にふらりと入っていってしまったAを追いかけると、Aはもうそのジャケットを手に取っていた。
それを迅に重ねて、「うん」と満足そうにする。迅はマイペースすぎるその行動に半ば呆れていた。
「何、急に……」
「え？ これ、悠一君に絶対似合うよ。ほらこの青色、髪にも目にも合う」
「そうかぁ？ 自分じゃわからんけど……」
「似合うよ」
Aは力強く言った。
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
