白の刀 ３ ページ12
口からはヒューヒューという息をする音だけが漏れ出る。
何もできずに死ぬことがただ只管に怖い。
死ぬの？
私はこのまま死んでしまうの…？
明確な鋭い殺意に充てられて、生への執着を手放そうとした時
「させるかっ！」
シャオくんが男性を羽交い締めにし、
「っし！今や！」
トントンが日本刀を奪い取る。
「うわっ！？ちょっと何やってんの2人共！？そこの人間殺せないんだけど！」
「アホ！殺さんくてええからこうやって止めたんやろ！？」
「つーか俺だってわざわざ嫌いなヤツ守るほど真面目やないんやけど！」
「はァ！？人間なんて誰だって変わんな…！」
「いいから寝てろ！」
シャオくんがそのまま失神させる。
ぐったりと力を失った男性を見た途端、視界が歪み頬を何かが伝う感覚がした。
「は！？なに泣いて…」
「泣いて…！？ごめん！左手痛かった！？」
泣いて…？
あ、そっか。今泣いてるのか、私。
自覚するやいなや溢れ出る嗚咽と抑えていた恐怖心と安堵。
「違っ！うぅ…うえぇ…！ごめんトントォン…！私のせいっ…で、傷つけ…！ヒグッ…怖かっ…！！あ、りが…！うわぁぁん！！」
思考が纏まらず支離滅裂なことを口に出す。
『ありがとう』と『ごめんなさい』と『怖かった』と『無事で良かった』がぐちゃぐちゃと頭の中で混ざり、涙と共に全て出てしまう。
今の私は思考だけでなく顔もぐちゃぐちゃになっているのだろう。
それが何ともみっともなくて、また涙が溢れ出す。
「…シャオロン、ひとらんのこと任せてええか？」
「ったく、しょーがねぇなぁ…」
気を失っている男性をシャオくんが抱え直したのを見て、こちらに来るトントン。
優しげな香りと温かさに包まれ、抱きしめられたことに気づく。
「ええから、気にすんな。もう傷はほとんど治ったし、俺が進んでやったことなんやから。Aになんもなくて良かったわ。」
ぽんぽんと背中を優しく叩かれながらトントンの言葉を聞く。
その体温が嬉しくて、その香りが安心して、頬の冷たい涙も流れなくなっていった。
「うん、ごめんトントン。守ってくれてありがとう。シャオくんも、ありがとう。生きててくれて良かった…」
私はそのまま泣き疲れて幼子のように眠ってしまった。
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ウラシル@ひぃ(プロフ) - アルテアさん» コメントありがとうございます。喜んで頂けたようで何よりです。アルテアさんの満足いく姿になっていれば良いのですが。 (2019年6月22日 21時) (
レス) id: a76b54135a (このIDを非表示/違反報告)
アルテア(プロフ) - ついにひとらんらんさんが！やったー！ありがとうございます！ (2019年6月16日 14時) (レス) id: c628398586 (このIDを非表示/違反報告)
ウラシル@ひぃ(プロフ) - 倉の中の石さん» コメントありがとうございます。はい！頑張りますね！ (2019年6月1日 20時) (レス) id: a76b54135a (このIDを非表示/違反報告)
倉の中の石 - すごく面白いです！更新頑張ってください！！ (2019年5月28日 4時) (レス) id: 873805d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウラシル@ひぃ | 作成日時：2019年5月26日 21時
