イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ44)

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（３２２）2人きり、プラス……？ページ44

混ぜられてボサボサになった頭に触れてみる。

力の加減が出来ないとか言ってたのに、痛くなかった。

むしろ撫でられた手が冷たくて心地良いと感じたくらいだ。

……蓮をいつも撫でてるからか？

そうこう考えてる内に空翼はショルダーバッグを手に、部室から出ようとしていた。

それを見て、足の痺れが取れてるかどうか確認してから慌てて立ち上がる。

円堂「空翼。みんなのとこに戻るのか？」

聖羅「街をぶらつく」

円堂「えっ、今からか？だったらオレも行くよ。もう夕方だし……」

聖羅「…………」

廊下を歩くのは同じ足の速さなのに、オレは時折早足にならないと空翼との距離が空いてしまう。

こいつが脚長細いからか……？

などと考えていると、前を歩く空翼が足を止め、左半身を向けて視線だけを投げかけてきた。

円堂「ん？どうした？」

左目で見据えてきたと思えば数秒ほどで逸らされ、空翼はまた歩き出す。

「来るな」って言いたそうな感じだったけど、実質口に出して言ってないから良いのだろうか。

あやふやで判断しづらくとも、今までの容赦なく突き放すような事も少しずつだが無くなってきている。

……けど心のどこかで、オレ以外のやつといてほしくない。オレだけが許されるんだ。ってひそかに喜んでしまっている自分がいた。

ムリに協調性を持ってほしいわけじゃないけど、みんなで何かをするのがどんな事なのか、こいつは柊達と一緒にいるにも関わらず、それを知らない。

オレは、空翼の知らなかった事を教える。……そう言ったから。

そのためにも、空翼からできる限り一緒にいようと思う。

聖羅「……あ、蓮」

思い立ったようにショルダーバッグのファスナーを開け、中から青い毛の塊を取り出した。

空翼はその額に手を当て、一度だけ起動させる。

聖羅「ん、まだバッテリーあるな」

円堂「あ……。あぁ、そっか……」

……忘れてた。空翼はいつもこの見た目が動物そっくりの機械──クロイドを連れてるんだった。

発作が起こって倒れても、蓮という名前で登録されたAI(エーアイ)が自動で柊達に連絡を入れてくれるよう設定されているらしい。

クロイドは柊や水狂言の住む藍の街では当たり前に使われている最先端技術らしいが、店がその街にしか無く、何故か開発会社も閉鎖的な商売しかしていないんだとか。

すごいと思う反面、半分フクザツな気持ちで、オレは空翼の隣を歩いた。

今の今まで2人きりかと思ってたのに、ちくしょお……。