イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ43)

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（３２１）建前ページ43

円堂は動かず床に座ったまま、動かずにいた。

聖羅「…………」

チトセ「ショウ、何をしている？行くぞ」

聖羅「後で行く」

リク「そうっすか？じゃあ、オレ達は先に行きましょうか」

チトセ「……そうだな。出来るだけ早く戻ってこいよ、ショウ」

柊が脇見に一言残していく。

聖羅本人は耳に入れているので、返事はしなかった。

聖羅「……おい」

膝立ちで声をかければ、今気づいたみたいに円堂が我に返った。

円堂「あれ？みんなどこに……、って、空翼……。もしかして待っててくれたのか？」

聖羅「すぐ動くのがメンドーなだけ。
……立て。チトセたちに早く戻れって言われてんだよ」

相も変わらず、空翼の態度は動揺を見せないというか……、ふてぶてしい。

けどそんな一面を何度か見て、この間も空翼の本心を聞けて、少しだけでも他人を気遣うようになってきたのは、大きな進歩だ。

それはそれで、ちょっと嬉しい。

聖羅「……なんだよ」

円堂「ううん、なんでもない。……あ、戻るんだったよな、行こうぜ！」

聖羅「おい、急に立ったら……」

円堂「へっ……？！」

ずっと正座のままで考え事をしていたものだから、脚がしびれていたのに気づかず体が傾いだ。

受け身も取れずに空翼にぶつかり、そのまま床に倒れてしまう。

円堂「……あ、あれ？痛くな……、ッ！？」

顔に当たる感触は固い床ではなく、クッションみたいに柔らかかった。

強く香る草木の青さとミントの匂いで、それが何だったかすぐに思い至った。

一気に顔に血が溜まるのを感じ、弾かれたように上半身だけでもと起こす。

円堂「ご、ごめん！ホントに今のはオレが悪い！」

聖羅「…………」

どうとも取れない緑の視線がオレを見つめた。

──と思えば。

オレの顔は白い手に引き寄せられて胸元へ戻された。

再び空翼の体に顔が当たる体勢になる。

オレの心臓のバクバクが速くなってるのに、気づかれませんように……！

……ホントに、考えが読めないなぁ。

空翼は何がしたいんだ……？

その時、頭に載せられていた手がぐしゃぐしゃと掻き混ぜられた。

円堂「わっ、ちょっ、何だよ～！」

聖羅「落ち着いたか」

円堂「……へっ？」

すぐに手を離され、押しのけられる。

……もしかして……。

……気遣ってくれた、のか？

そうだったら、スッゲー嬉しいな。

……違うって言われそうだから聞かないけど。