イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ25)

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（３０３）思考を凝らしてページ25

言葉の意図が読めず、間抜けな声が出る。

聖羅「あたしの知らないことを教えるってことは、『あたしがなにを知らないのか』がわかってねーと教えないっつーことだろ」

円堂「……？だから、それはこれから空翼が教えてくれんだろ？」

聖羅「阿呆、あたしがいつそんなこと言ったんだよ。思い上がんのも大概にしろ、人間」

円堂「……っ」

……無言の空間が生まれる。

聖羅「……時間、かけすぎた。戻る」

円堂「……空翼！」

キャラバンの屋根から飛び降りて数歩歩くと、円堂の呼び声が足を止めさせた。

円堂「オレ、お前が無理してるとこ、見たくないから！だから、困った事があったら何でも言ってくれよ！」

聖羅「…………」

円堂の言葉に答えず、聖羅は廊下を淡々と歩いていた。

聖羅「……どうせ、あたしより先に死ぬくせに」

……なぜか、そう思った。

自分はただ、何年か学校に通ってなくて、こんな金をムダに煩わせるような、近いってだけの理由で転入した私立中学校に興味なんかないのに。

いや。

「興味がない」なんてものなんかじゃない。

ただの成り行きでこうなっただけだ。

「迎えた養子が義務教育でまともに小中学校通ってなかった」なんて、天空財閥当主である一樹にとって不手際極まりない上、権力とか実績みたいにつまんねー誇りに赤っ恥を掻くハメになる。

……あたしは所詮、そんな価値もない持て余した【駒】に過ぎない。

円堂達が死んだところで、あたしにはなんの感情も抱きはしない。

……人間なんか、生まれたらいつかは死ぬんだから。

聖羅「……人間なんてちゃんと相手を見ようとしない。考えがはっきりしてる動物さんでもない。ただの生物の成り損ない」

自分が助かるためなら、他人を蹴落として一本の蜘蛛の糸にでもしがみつくような、野蛮な生き物だ。

なのに、アイツは……、円堂守は、何度遠ざけてもこんな何者なのかもわからない自分に手を掴もうとしてくる。

……つくづく、うっとうしい。

そんなにあたしを利用したいのか。自己満足のために。

聖羅「うぜー……。マジで自分勝手すぎて驚かねーよ」

壁にもたれて額を押さえていると、足元に青い塊がトコトコと走ってきた。

青い塊。……蓮だ。

蓮『セイ』

蓮は相変わらずピンクの舌先を出してこちらを見つめている。